#臆病者 ページ9
「……悠は、臆病なんかじゃないよ」
発せられた言葉は、意外なものだった。
「弱いのは、私の方」
Aは、長い睫毛を伏せる。
「どういう、こと……?」
意味がわからず聞き返した自分の声は、何故か小さく震えていて。
「……はい。これで、全部わかるから」
彼女に手渡されたのは、一通の手紙。
紅い花が描かれた便箋には、ご丁寧に“悠へ”と綴られていた。
「……あのね。私が悠に病気を伝えなかったのは、悠が離れていくのが怖かったからなんだ。」
「え?僕、Aから離れるなんてせーへんよ……?」
だってこんなにも、僕は君を好きでいるのに。
「うん、頭ではわかってた。悠はそんなことしないって。でも私、弱いからさ。怖くて……」
僕が話せなくなったのを見計らってか、Aは立て続けに言葉を紡ぐ。
「……私、もう長くないんだ。小学生の頃から、余命宣告受けてて。この歳まで生きていられたのも、奇跡みたいな感じ。
でも、見ててわかるでしょ?容態……悪化してるんだ。もう……」
Aは自傷的に微笑んだ。
「そんなのわからない!まだAは____」
言葉を遮られた。
_____誰かの、唇によって。
それがキスだということ。
相手が、Aだということ。
それを理解するのに、果たして何秒かかっただろうか。
酸素欠乏症で唇を離したとき、やっと僕は重要な事実に気が付く。
Aの酸素呼吸器が、外されていることに。
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嘘/ライ(プロフ) - HKR19960226さん» ありがとうございます……!これからも、皆様に喜んで貰えるような作品を作れるよう努めていきます。 (2018年11月24日 18時) (レス) id: f13e7dfc49 (このIDを非表示/違反報告)
HKR19960226(プロフ) - 涙が止まらないです…素敵な作品でした。 (2018年11月11日 4時) (レス) id: 9c78cc556f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:嘘/ライ | 作成日時:2018年9月20日 20時