【文スト】重力使いの初恋物語

#10腕の中の君 ページ10

中也side

頭を撫でると驚いた顔をして此方を見た。


相当泣いたんだろうな。


目が腫れて、鼻が赤い。


一瞬涙を止めようと我慢したのか歯を少し食いしばっていた。


それでも涙は流れていた。


その姿を見ていても経っても居られなくなり、俺は結城を抱きしめていた。


驚いたのか俺の名前を呼んだ。


声は掠れていて小さかったが俺は聞き逃さなかった。


此奴には好きなだけ泣いて少しでも気持ちが楽になればいいと思った。
だからと言って、抱きしめていい理由にはならねぇ。


だから、離れたければ離れればいいと伝えた。


本当は離れたくねぇし、離したくもねぇよ。


でも、此奴の嫌がる事は絶てぇしない。


突き放される覚悟をした時


彼奴は抵抗せず泣いた。俺の腕の中で。


正直嬉しかった。


人が泣いてる時に俺は何考えてんだろと思ったでも。


少しは俺の事信用してくれたのだと思って嬉しかった。それと同時に笑顔にしてやれない自分の無力差に腹が立った。

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