【文スト】重力使いの初恋物語

#7夢が続けば… ページ7

『A。あなたのピアノはまるでお話を聞いているみたい。感情が音になっているわ。お母さんあなたのピアノ大好きよ』


ありがとうお母さん。


『A。また、ピアノ上手くなったんじゃないか？すごいなぁ。今度発表会があるんだろう？頑張れ。父さんちゃんと見に行くからな！』


ありがとうお父さん。


ピアノは好き。
だってお母さんもお父さんも私がピアノを弾くと喜んでくれるし、褒めてくれる。
家族みんなが笑顔になるから。


発表会お父さんいつもビデオで録画して終われば花束を泣きながら持ってきて


あれ、恥ずかしいのよ？
皆見てるのに号泣するんだから。


でも、お母さんと2人でお父さんの様子みて笑ってお父さんが｢仕方ないだろう｣と少しいじけて。


その空間が好き。



それでその空間はもう戻らない。




｢っは……｣


夢…か。
夢なら永遠に続けばいいのに。


目覚めたくなかった。


部屋の奥にある窓を見れば朝日が射していた。


あぁ。あれから1日が経ったんだ。


私は起き上がり。
やたら派手な洗面台の前に立った。


流石マフィア。医務室なのにホテルみたいなんだもん。


乱れた髪を整えて。
顔を洗う。


タオルで顔を拭きながら思い出してしまった。


夢の中で見た両親の顔。
もう二度と見れない顔。


お父さん。お母さん。
たとえ血が繋がってなくても
私の大好きな家族だよ。


血縁関係なんてどうでもいい。
お願いだから。お願いだから…。


私を1人にしないで…。


｢うっ……ﾋｸｯ……うぅ…。｣


声がまだ上手く出ない。
だから思いっきり泣いた気がしない。


その場に崩れ落ちて
ただ静かに泣くだけだった。


かれこれ1時間は泣いただろう。


それでも泣き止まずひたすら泣いていた私は
部屋に誰かが入ってきたのに気が付かなかった。

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