第38話 ページ38
う「…………やっぱり実家に帰った方が良いって。」
『もー、何回も言ってるけど夏休み中も学校は夏季講習があるの!実家に帰ったら毎日通うのが大変!』
う「そうだけど…」
来たる夏休み。
かくいう私は夏休みとはいえど夏季講習があるため、夏休みの半分くらいは高校に行く予定だ。
そして、「浦島坂田船 Summer Tour」が幕を開けた。
ツアー中は全国各地を回るため渉くんが家にいる日は格段に減る。私を一人にするのが心配な渉くんは実家に帰省するよう説得を試みているようだが高校に通うことを考えると現実的ではない。
『私はもう高校2年生だよ?一人でも大丈夫。』
う「家事の心配をしてるんじゃなくて、Aの体調とか防犯上の心配をしてるの。未だに夜中眠れなくて何回か起きてるの知ってんだからな。」
『うっ………』
それを言われてしまうと何も言えない………。
う「………分かった。こうしよう。」
『?』
う「俺がこの家にいない間はまふに預かってもらう。」
『まふ……、あ、まふまふさん?…っえ、いやダメだよ!まふまふさん忙しい人なんだから!』
う「でも高校に通うなら俺達についてくる訳にもいかないし実家に帰省する訳にもいかない。この家に一人にすることは俺が反対。誰かに預けようにもAが話せるくらいに打ち解けてるのは浦島坂田船除いたらまふだけ。もうまふに預けるしかないだろ。」
『…まふまふさんが断ったら?』
う「まぁ無いとは思うけど、そうしたら大人しく実家に帰ってもらうしかないな。俺が帰ってきてる間だけこの家から夏季講習に参加する形になる。」
お互いの言い分を最大限生かした上での解決策。
……あまりわがままばかりを言っていても渉くんを困らせてしまうだけか。
『分かった。渉くんの提案でお願いします。』
う「おう、ありがとな。」
渉くんは安心したように笑って私の頭を撫でる。
……もう渉くんに頭を撫でられても怖くないんだよ。少しずつだけど色んな人と話せるようにもなってきた。これ全部、渉くんのおかげなの気付いてるかな?
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まなつ(プロフ) - コメント失礼します。ただ一人の私自身を思ってくれる、本当の私を見てくれる、そんな優しい誰かがすぐそばにいる、それを気付かせてくれる誰かがいる夢主ちゃんはとても幸せですね。素敵なお話をありがとうございます (2020年6月25日 23時) (レス) id: c0717d53d4 (このIDを非表示/違反報告)
ゲッティ - 奇遇、私も埼玉住んでる (2020年6月13日 18時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 心春さん» これは世界中で理不尽ないじめと戦う皆の話です。貴方の心に響いたのならきっと貴方も過去(現在かもしれませんが)経験がおありなのでしょう。「結局誰も助けてくれない、けれど何処かに助けてくれる大人は必ずいる」をテーマに書いておりますのでコメント嬉しいです。 (2020年5月26日 7時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
心春 - 泣いてしまいました。夢主ちゃんの周りに素敵な方達がたくさん居て、読んでいてとてもあたたかくなりました。これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます。 (2020年5月26日 0時) (レス) id: dd23ca9c81 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - しおさん» ありがとうございます。「貴方にとって優しい世界が何処かにある」をテーマに書いておりますので伝わっていたのはとても嬉しいです。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作成日時:2019年8月6日 12時