好物頂上決戦【月島 蛍】

勝利に貪欲。 ページ36

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合宿から帰ってきてすぐ、春高一次予選があった。



初戦の扇南高校は圧勝。

2回戦の角川高校は、2メートル相手に少し苦戦したものの、2-0で勝った。


無事に、県の代表決定戦への進出が決まった。







そして、代表決定戦まで2ヶ月を切った今、個人のレベルアップ重視で自主練を重点的に行うようになった。








「あれ、影山は？」

「あ、さっき代表決定戦で当たる高校に偵察行くって言ってたよ！

…なんか、帽子にサングラスまでしてたけど…」

「え！見たかった〜！仁花ちゃんいいな〜」

「結構怖かったよ…」







普通の運動部っぽい格好でいいのでは、と言ったらいつものセッター魂Tシャツ着て行ったらしい。

影山ってそういうとこポンコツだよね…(褒めてる)





じゃあ日向は暇なんじゃ、と思ってたら、

コートの外でしゃがんでる月島に話しかけてた。








「なあ、月島だったらウシワカ止められるか」

「…無理でしょ。全国トップ3のエースなんて。マグレならまだしも」

「でも、誰かが止めなきゃ白鳥沢倒せない。俺達MBじゃん」

「もう県トップのこと考えてるの。随分余裕だね」

「…どっちみち、全部倒さなきゃいけないんだから同じだ」






たまに、日向が怖いと思う。


勝利に貪欲で、前だけを見ていて。






…それは、月島も同じのようだった。

同じポジションだから尚更かもしれない。







「…なんかムカつく」

「何でだよ！！月島で無理なら、俺がやってやる！」



「…自分で言うのはともかく、他人に無理って言われると腹立つよね」







キミは特に、と月島は立ち上がって日向の下痢ツボを押した。


ぎゃーー！とのたうち回る日向。うわあ…(同情)






月島は、その様子を眉一つ動かさずに見て、

帰る、と私に一言声をかけた。









「え、もう帰るの」

「うん」

「そ、っか…」




少し言葉を濁した私に、月島はため息をついた。






「…そんな顔しないでよ。兄ちゃんの所属する社会人チームで練習しに行くだけ」

「…え、え？兄ちゃん？」

「…この前久しぶりに兄ちゃんに会って、話した」





そう話す月島は、どこか嬉しそうだった。


私も思わず笑顔になる。







「良かったじゃん。練習誘われたの？」

「そうだけど…ねえ笑顔キモい」

「最近月島がやる気で嬉しいよ私」

「笑顔キモいって」

「2回も言うなバーカ」








私は月島の背中を思いっきり叩いた。









「(大丈夫。)」

答えが出てるようなもの。→←肩を借りる。

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