好物頂上決戦【月島 蛍】

どうして、で溢れる。 ページ34

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「…あれ、亀野さん。どうしたの？」

「あ、えっと…月島の自主練、見にきました…その、」

「…へえ、なるほど」

「赤葦さんその顔やめてください」

「分かってるよ。月島も結構分かりやすいだなって思っただけ」







月島と私を見てニヤッと笑う赤葦さんは、どこか楽しそうだった。

首を傾げる私に、赤葦さんはいつもの様子で、『じゃあスコアでもお願いしようかな』と言った。





「得点板、そこの倉庫にあるから…あ、奥まったところに入れてあるから危ないし俺も行こうか？」

「いや大丈夫です！私意外と丈夫なんで！」

「でも、」






赤葦さんが口を開いた時、


パッと、月島に手首を掴まれてそのまま引かれた。








「…僕が一緒に行くんで、大丈夫です」

「つつ、月島…ッ」

「それに、さっきから向こうで赤葦さんを呼ぶ声がうるさいので。早く行ったほうがいいんじゃないですか？」


「…そう、なら頼んだ」







フフ、と笑って赤葦さんは木兎さんのところへ行ってしまった。


月島は、ずっと私の手首を掴んだまま赤葦さんの方を見ていた。









「…ホント、怖すぎるだろあの人…」

「あの、月島……手、」

「…あぁ、ごめん。嫌だったの」

「うぇ！？…い、や…では、ないけど、」

「じゃあいいデショ」







月島は意地悪く微笑んで、手首を掴んだまま歩き出した。

私の脳内は、どうして？で溢れていた。





今日の月島はおかしい。


名前で呼んだり、こうして触れてきたり。







「(私のこと、嫌いなくせに…真意はよく分からないけど)」





それでも、どこか嬉しいと思う自分がいる。


そして、気づいた。







「(…憎いはずなのに、居心地が悪いとは思わない…不思議)」





掴まれた手首があつい。


なぜだかは分からないけど、どうやら月島に絆されてしまったようだ。








「…あのさ、僕、」

「…なに？」

「…そ」







「あーーー！俺も混ぜてください！」

「俺も俺も！」

「あれ、日向とリエーフ？」

「っ、」








2人の名前を呼んだ途端、月島の手が離れた。


驚いて月島を見ると、眉間にシワを寄せて早足で倉庫に消えた。







「え、待って月島、何言いかけたの」

「うるさい！こっちこないで！バーカバーカ！！」

「え！なんでそうなんのさ！！」








結局月島の口から言いかけた言葉は聞けることなく。



夜が更けていった。

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