好物頂上決戦【月島 蛍】

赤葦さんと第3体育館。 ページ28

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「ごめん亀野さん、木兎さんのスパイク変なとこに飛んでっちゃって…」


「げっ…赤葦さん」

「え。げって何…」

「あ、いや、その…」








転がってきたボールを拾ったら、第3体育館の中から赤葦さんが出てきた。


う。昼のことあるから何だか顔合わせずらい…

そう思ってたのが声に出ていたようだ。





私は咄嗟に頭を下げる。







「…お昼、痴女みたいなことしてすみません！どうぞドン引きしてください…」

「痴女…？あぁ、別にいいよ。むしろありがとう」

「ありが、とう…？」

「こっちの話。でも、見られたの俺でよかったと思うよ」







黒尾さんとかに見られたら大変だったと思うし、と赤葦さんは苦笑いする。



なんだか、








「意外。ドン引きしないんですね…」

「まあ、俺も男だしね」

「でも全然興味なさそうな顔してます」

「ポーカーフェイスは得意だから。男はみんな変態だよ。覚えといて」








えーまさか赤葦さんも、と思ったとき、

なかなか戻って来ない赤葦さんに痺れを切らした木兎さんが駆け寄ってきた。








「あかーし！！…ってあれ？えーっと、確か蟹ちゃん！！」

「ブハッ！！……蟹じゃなくて、亀です…」

「自分で笑っちゃうんだそこ」

「何してんだよ2人して〜〜。せっかく月島くんにブロック飛んでもらってんだから！」





早く！と木兎さんは急かした。








…待って、今。









「月島、って言った…？」

「言ったよ。今木兎さんのスパイクをブロックしてもらってる」

「え、え…月島が、あの月島が…自主練に…！」

「え。なんで泣いてるの…」







私は赤葦さんに詰め寄った。

どうやって誘ったんですか、と。




私や烏養さんの言葉も若干スルーするあの月島が。





すると赤葦さんは真顔で言った。









「黒尾さんが煽りに煽ったら来てくれた」

「黒尾さんまじリスペクト。弟子になります」

「いい笑顔だね」

「やだ、分かります？」








明日お願いしてみます、と赤葦さんの前から立ち去ろうとすると、

ガシリと腕を掴まれた。









「せっかくだし練習手伝ってよ」

「え、私がですか？いります？」

「俺に山なりにボールあげてほしいんだ」

「まあ、それくらいなら…」









決まり、と赤葦さんは笑って、


私の手首を握って第3体育館の中に連れ込んだ。









…意外と力強い。

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