好物頂上決戦【月島 蛍】

左手の甲。 ページ12

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私達が体育館に着く頃には、もう他のチームの人達はアップをしていた。


一度戦ったことのある(と聞いた)音駒高校の黒尾さんが案内と説明をしてくれた。






「ひたすら全チームでグルグルとゲームをやる。1セットごとに負けた方はフライング。コート1周な」




「フライング…？」

「空中でボールを拾うフライングレシーブをする時の動きで、手、胸の順で身体を床に滑らせるの」

「あぁ…大地さんやノヤ先輩がよくやってる…」






その後、集合がかかり猫又監督の挨拶があって、練習試合が始まった。


初戦は梟谷。








「チャンスボール！」



「レフトレフト！！」



「ブロック3枚！！」









圧倒的な強さだった。

16-25。さすが強豪校と言うべきか。






「フライング1周！！」







大地さんの掛け声と共に、みんなペナルティをこなしていく。


私はモヤモヤしていた。









「(別に、烏野が弱いってわけじゃないのに…なんで？日向と、影山がいないから？そんなことはないはず)」






うーん、と唸りながらドリンクを渡していくと、

1本、余った。








「…月島の？あれ山口くん、月島は？」

「さっきまで近くにいたけど…」

「え〜探してくる…」

「帰ってくるの待てばいいのに笑」






ドリンクも飲まずにどこかへ行ってしまった月島を探しに体育館の中をウロウロしてると、

コートの外を歩く月島を見つけた。



私は早足で月島の元へ向かう。








「ちょっと、ドリンクも飲まずにどこ行ってたわけ？」

「別にどうだっていいデショ。キミに関係ある？」

「あります〜〜。誰にも声かけていかないで出て行くとか、おか、」





「ツッキー！！(人1)！！」








山口くんの声が響く。


横からボールが迫るのが、直接見てなくても分かった。






分かったのに、身体は咄嗟に反応できないもので。


ぶつかる、と思った。









「チッ…」

「ぉわっ！？」







突然、月島に力強く手を引かれ、


ぽすり。胸に飛び込んだ。


月島の右手は私の後頭部にまわり、









バンッ！！！！









「え、」

「った…」







左手の甲で、ボールが当たるのを防いだ。


月島、と声をかけようとした時、

咄嗟に月島が顔を覗き込む。








「つ、つき、」

「怪我は。おでことか」

「な、い…けど、その、近い…」

「は」







互いに、固まった。


間に流れる、変な空気。







私は耐えられず、下を向いた。

絵に描いたようなツンデレ。→←梟谷学園高校。

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