黒蜥蜴十人長ノ決意 『19』 ページ19
「どうかしたんですか、立原さん?」
「い、いや、何でもねェ……。」
彼女が眉を八の字にして、怪訝そうな表情を浮かべて此方の様子を伺ってくる。
俺は暗い考えを振り払うかの様にして、前を見据える。
何処かで彼女の面影を、何時までも未練たらしく探してるんじゃねェよ俺。どんだけ女々しいヤツなんだよ。こんなんじゃ、彼奴に渇入れられちまう。
「あ、早苗ちゃん、彼処の公園だよ―――えッ?」
直ぐ目の前まで見えた公園を指差した彼女の足が、小さな驚嘆を合図に突然止まった。それに俺も早苗も驚いて、彼女と同時に足を止める。
「お、おい、どうしたんだよ。」
俺の問いには答える事なく、彼女は
一体全体、そのヘッドフォンから何が聴こえてきているのか、俺には皆目検討がつかない。
早苗も彼女の手をギュッと握り締め、不安そうな表情を浮かべ乍ら彼女の顔色を下から見上げるようにして伺っている。
「ごめんなさい立原さん。私、少し急用を思い出しました。早苗ちゃんの事、宜しく御願いします。」
彼女からサアーッと血の気の引く音が聞こえてくるかの様に、彼女の顔は一気に真っ青に変化した。
そして早口でそう捲し立てると、意図も簡単に早苗の手を離して俺達が向かう公園とは逆方向に走り出した。
彼女の手が離れ、他人の温もりを失った片手を寂しそうに見詰める早苗を横目に、俺は何かしてやりたくなった。
出逢って、未だ数時間しか経っていないと云うのに、どうやら情が沸いてしまった様だ。
マフィアで有る俺らしくないが、此の情も悪くはないな。
少し急用を思い出しただけとは思えない態度に、俺は違和感を覚える他無かった。けれど只、其の光景を見送るだけでは駄目だと俺は衝動的に走り去ろうとする彼女の腕を掴んだ。
きっと、此の機会を逃したら、彼女とはもう2度と逢えない気がしてなら無かった。だから、また早苗と逢える様に俺がしてやれる事は只1つ。
「行く前に、メアド教えてくれねェか?!」
彼女との連絡先を知り、俺が彼女と早苗のパイプになる事であった。
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櫻餅(プロフ) - まゆさん» コメント有難う御座います。現在更新停止中ですが、また更新できるように頑張りたいと思っております。 (2019年5月3日 9時) (
レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年5月3日 1時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ラズさん» コメント有難う御座います。現在ネタ切れによる更新停止中で申し訳ありません。もう一度お話の流れを整えて、また更新できるように頑張っていきたいと思っておりますので暫くお待ちいただけると嬉しいです。 (2019年4月30日 21時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
ラズ(プロフ) - 凄く面白いです！続き、続きを下さい!! (2019年4月30日 12時) (レス) id: 8609e55ade (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - アイカさん» 中々次の話への展開の仕方が思い付かず更新が停止している状態ですが、また書けるように頑張りたいと思っています。コメントありがとうございますm(__)m (2018年6月13日 22時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年8月21日 13時
