25話 ページ26
「食堂のお兄さんですけど?」
ギラギラと鋭く光る目に俺は涙目で言う。
なんで茨の国の、しかも時期王に目をつけられなくちゃいけないんだ。
「俺はここで皆に料理を提供してるだけだ。
それが仕事だからな。」
そうやけくそに言うとマレウスはクスクスと笑った。
「ほう、面白い。食堂のお兄さんか……牙をなくした獅子にとても似合う名じゃないか。」
こいつ、さっきから耳障りの悪いこと言ってきやがる。
「そうだろ?だからこれ以上余計な詮索しても無駄ってわけさ。それでも深く詮索するってなら……な。」
マレウスがたじろいで1歩下がる。
額の冷や汗がつぅと頬を伝って落ちるのを見て、
俺はにぱっと笑顔になる。
「まあ、仲良くしようや。マレウスくん。
早く食べないとスパゲティが冷めちまうぜ?」
唖然とした顔のマレウスの無理やりスパゲティを持たせる。眼光は開きっぱで口角は上がっており、不気味な笑い声を途切れ途切れ出している。
ちょっとやりすぎたか?無反応だったから加減が分からなかったぞ。
俺はマレウスに持たせてたスパゲティを机に置いて
彼の目を手で覆い隠した。
ホワンっと暖かい光が俺の手から放たれ、
マレウスはすぅっと目を閉じた。
強制的に寝かしたのだ。
やっべぇ高校生相手に手加減出来ないとか何やってんだ俺……。でも妖精族って寿命長いから俺より年上……?まあいいか。
「ごめんな。俺はただ、ここに居たいだけなんだ。
……絶対公言するなよ。そこにいるコウモリみたいな子もな。」
そう言って天井に目を向けた。
ずっと気配はしてたんだ。
「ほう、お主。なかなかやりおるな。」
その声が聞こえたのは背後で、俺はゆっくり振り向く。そこには愛らしい容姿をしたマレウスの仲間であろう子がニヤリと笑っていた。
「すまんな。手加減が上手くできなかった。
許してくれ。俺は詮索しないで欲しいだけだ。」
さて、今日はもう客が来なさそうだし。
仕事はこれで終わりかな。
俺はマレウスを仲間の子に受け渡した。
「こちらこそ、マレウスが無礼をしたな。
どうか仲良くしてやっておくれ。
詮索はよせと言っておく。」
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零(プロフ) - 続きが速く見たいです! (2023年2月11日 16時) (レス) @page30 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 洸さん» 返信遅くなってすみません……!そう言って頂けて本当に嬉しいです!更新頑張ります! (2022年7月31日 15時) (レス) @page30 id: f3216aef7e (このIDを非表示/違反報告)
洸 - えっちょ、は?神か?神だな?貴方は神だな?誇張じゃなく神だな?神ですね?え、今まで見た中で最高ですよコレ。更新待機しますよマジで。 (2022年4月23日 21時) (レス) @page27 id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 舞さん» 返信遅くなり申し訳ございません……ありがとうございます! (2021年11月17日 19時) (レス) id: bc678a6855 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2021年11月7日 2時) (レス) @page24 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らずぴす x他1人 | 作成日時:2021年8月21日 5時