好奇心ト悪戯心ノ行ク末 ページ7
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太宰さんは僕が話している間、一言も喋らなかった。見張りがあるからと、僕の方を見る事は無かったけど、彼は聞き終わった後「一寸聞いても良いかい?」と、僕の話で疑問に思った箇所が有ったらしく質問をしてくる。
答えられる範囲でなら返す事は出来たが、僕自身組合襲撃後の記憶は殆ど曖昧で、確証が無い。
それでも太宰さんは、構わないと云ってくれた。
「.........組合襲撃に敦君が見た光景、詰まり......嗚呼、成る程」
太宰さんは顎に手を中てて、ブツブツと何かを呟いている。声が小さかったので内容は聞き取れなかったのだが、数分後、結論が出たのか彼は肩を震わせて笑い始めた。
「うふ うふふふ......」
「な、何が可笑しいんです?」
「いや、別に? ただ 目的が読めて来たのさ......話してくれて有難う、敦君」
少々気味が悪い笑い方だった、けれど笑い終わった後の太宰さんは何処かスッキリした様な表情を浮かべている。
僕は何が何だか判らず、彼の言葉にただ一言「はぁ......」としか、返す事が出来なかった。
一体、太宰さんは今の話で何が判ったのだろう?
壁の隅に身を寄せ乍考えてみた。僕とは違い、彼は普段何処か飄々としていて抜けているが、いざという時は恐ろしい程の頭の回転力と観察眼を発揮する。目的が読めて来た、と云っていたが其れは如何云う意味だろうか。
「.........ん......」
僕が頭の中で、そんな事を考えていた時だった。眠っていたポートマフィアの異能者が睫毛を震わせ、ゆっくりと薄い瞼を開け、目を覚ました。
彼女は太宰さんの姿を目に映した途端、驚いた様にカッと瞳を大きく見開く。
「やあ 姐さん、ご無沙汰」
「......この程度の縛めで私を
目を覚ました後も、彼女が逃げ出したりする事が出来ない様にだろう。布団の上には黒く頑丈な、相手を拘束する為のベルトが二本固定されていた。
「真逆、だから私が見張りに」
「確かに久しいのう」
___ 裏切者よ
彼女の科白を聞いた一瞬、太宰さんから笑みが消えた。
「組織の誰もが 其方の首を狙っておるぞ」
「はは、行列に並ぶよう云わないと」
二人共口調は穏やかだが、内容が物騒だ。
正直、彼女には余り良い印象が無い。異能で斬り刻まれた事も有るが、其れとはまた別の問題があった。
「......童、鏡花は無事かえ」
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時