裏切者ト葡萄ノ木 ページ39
×××
「何処に向かっているの?」
「.........」
スタインベックに何処に行くのかを尋ねても、その答えは返って来ない。
彼は真っ直ぐに前を向き、
木々が生い茂り、地面が少々
運動靴を履いて来れば良かったと思うが、これは予想外の展開だ。
沈黙が続く。
正直な話をすると、会話が無い空間と云うのは何故か妙に肩が凝ってしまう。
話しかけても無駄なのは理解していたが、そろそろ窮屈に感じて来たのだが、「着いたよ」と、云うスタインベックの科白により、漸く沈黙が破られた。
「......古屋」
「君に見せたい
煉瓦造りの古屋。
周りには目立つ物は特に無い。スタインベックは私の腕を離すと扉を開け、中に入る様に促す。
警戒しつつ
彼は私に、何を見せたいと云うのだろう。疑問に思っていると、床下の収納庫に手を掛ける。
「.....これは、地下?」
収納庫の下には
更にその下には階段が在る。
見せたいモノとは地下に在るらしく、スタインベックは先に梯子を降りた。
地下は陽の光が当たらないから薄暗く、視界が暗闇に慣れるのに十数秒の時間が掛かる。
私も彼の後に続き、梯子を降りる。
階段を降りる度、二人分の足音が響いた。
「......ッ!?」
階段を降りた先に飛び込んで来た光景に、私は目を疑った。
「.........子供?」
「君も名前位知っている筈だよ。___ アレが“ Q ”さ」
葡萄の木に絡め取られた、小さな帽子を頭に乗せた子供。Qと聞いた瞬間、私の心臓がドクンッと大きく脈打った。彼はQに近づくと、「やぁ、調子はどう?」と、気楽な調子で尋ねる。
スタインベックの異能である『怒りの葡萄』が、Qの躰と繋がっていた。葡萄の木は、地下全体だけでなく、地面にも根を張っている。
Qはスタインベックの問いに対し、「痛い......」ポツリと呟いたかと思えば、叫び出した。
「痛い 痛い 痛いぃぃッ!!
×××
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時