摑ム光ハ砂ノ如ク砕ケ散ルー 下 ー ページ37
×××
「......!」
何が起きたのか、全く判らなかった。
泉は瞬時に刀を振るう。
パァンッ
すると、その手に激痛が走る。見てみると皮膚が裂け、非道い火傷を負っていた。小刀は真っ二つに割れている。
如何やら二人の他にもう一人、誰かが居るみたいだ。泉は辺りを見回すが、其れらしき人物の気配は何処にも無い。
『ヒュ〜♪ 大命中〜! 死にはしないけど、死ぬほど痛いんだよねぇ、僕の
「ご苦労、トウェイン君」
遠くに見える高い
建築物から此の港の距離は、かなり離れている。トウェインは相当腕の良い
そして通話を終え、意識を失った中島に近づくと、首を掴み持ち上げる。
「では
「駄......目...... それだけは......」
此の儘では、中島が彼等に連れ攫われてしまう。己が受けた手の痛みを忘れ、泉は蒼褪め乍らフィッツジェラルドに懇願した。彼を連れて行くのだけは駄目だ、自分は例え如何なったとしても構わない。
けれど、彼女の懇願は相手に届かなかった。
「メルヴィル君 新拠点のお披露目と行こう」
「......承知した」
メルヴィルと呼ばれた老人は、フィッツジェラルドがパチンと軽く指を鳴らした後、海に向かって手を伸ばす。
その瞬間、地面が大きく揺れた。海の底から何かが這い上がって来る。
ザパァッ......
「久しいな......相棒」
『組合』職人
ハーマン・メルヴィル
___ 能力名
巨大な白鯨型の船が、海の底から其の巨体を見せた。
フィッツジェラルドは中島を脇に抱え、歩き出す。「君とは会ったばかりだが」一度足を止め、泉の方を振り向いた。
「人生経験から忠告しよう、君に人助けは向いていない。向いているのは___ 判るな?」
涙が溢れた。
「___如何して? 向いていないなら 如何して光を見せたの? 如何して望みを抱かせたの?」
白鯨は中島達を乗せ、空に浮かび上がる。
そして、溶ける様に消えてしまった。
同時に泉の周りを、軍警が取り囲む。
「手を掲げろ! 連続殺人の容疑で逮捕する !」
「......さようなら」
“ もう私を......光で照らさないで...... ”
×××
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時