摑ム光ハ砂ノ如ク砕ケ散ルー 上 ー ページ35
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鏡花はじき、大勢を殺す ___
尾崎から云われた科白だった。
中島は当然、彼女の科白を否定した。だが、尾崎は泉と共に過ごした時間は中島よりもずっと長い。泉の本質を、尾崎は見抜いていたのだ。
脅されていたとはいえ、幾月か計りの稽古を受けただけの、未だ十四歳の少女が、一度の露見も失敗もなく三十五人の人間の命を奪えるのか。
尾崎は、それを泉の【
其の才能が、彼女の身体だけでなく魂に黒く絡みついている。中島が本気で、泉を救いたいと思っていても、泉が己自身の闇に打ち勝たない限り、望む場所には居られない。
「......」
泉は云った。
自分の居場所は、探偵社だけ。
成りたいものが出来たから戦うと云うが、中島はその際、彼女のなかにある“ 夜叉 ”の姿を垣間見た様な気がしたのだ。
***
「済みません!」
中島は警察官達に声を掛けた。警察官達は彼等の姿を見ると驚愕する。若い男の方が、中島の元に駆け寄った。
驚愕するのは当然だ。二人の内、一人は未だ十四歳の少女、そんな少女の肩に背負われている少年は手負いの身なのだから。
「
「何だって___ 大丈夫かい? 非道い怪我じゃないか! 警部ッ」
襲われた事には間違い無いのだが、相手は武器を持ってはいなかった。直ぐに救急車を呼ぶ様、若い方の警察官は年配の警察官に向かって云う。年配の男の方は警部だった。警部は「あぁ」と頷けば、何やら神妙な面持ちになる。
「裏社会の抗争かも知れん。暫く前から横浜は
海外船の爆破は、マフィアによって行われた。
逃亡中の少女殺人犯は、泉の事を指している。
其の時だった。
ザザッ ザー......
パトカーに繋がっている警察無線に、本部から連絡が入ったのだ。警部は無線機を手に取ると、「こちらゼロナナ 本部どうぞ」慌てて応対する。
『至急 至急。本部よりゼロナナ 手配中の連続殺人犯がその近辺を逃亡中との情報あり』
“ 年齢は十四 ”
“ 和装で身長五尺足らずの少女___ ”
警部は本部から情報を聞き終え、泉の方にゆっくりと顔を向ける。そして尋ねた。
「お嬢ちゃん......
巣食う夜叉は、消えない。
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時