琥珀ノ瞳ハ何ヲ映ス ページ27
×××
「......ッ」
靴音を鳴らして走った。
踵が少々高い靴は、走る事には向いていない。時々転びそうになり
全力で走るなんて久々だ。走る度に酸素は薄くなり、呼吸が苦しくなる。
「......! 太宰さんッ」
場所は総合病院前。
見慣れた後ろ姿を目にした途端、私は相手の名前を叫ぶ。
こんな風に必死に誰かの名前を呼んだ事が無かったから、私は少々自分でも驚いた。私って、ここまで大きな声が出せる人間だったのか。
彼の元に駆け寄ると、私はようやく足を止める。荒い呼吸を整える為に、胸に手を中て数回程深呼吸をした。
そんな私の様子を、彼の鳶色の瞳が見詰めている。「随分と急いで来たみたいだねぇ」なんて、口調は軽い調子だが、私は彼の右腕に目を向けた。
「......その、腕...」
「ん? 嗚呼コレかい?」
右腕のギプスをチラつかせ、彼は苦笑する。「利き腕が動かないのは厳しいねぇ」と肩を竦めたら、彼は利き手とは逆の手で、私の髪に触れた。
「......何故撫でるのです?」
「理由は無いよ。君こそ、如何して私を此処に呼び出したんだい?」
質問を質問で返された。
運転をしていた坂口さんの方は重傷だが、命に別状は無い。隣に座っていた太宰の方は、軽傷で済んだと聞いていた。
連絡を受けた時は驚いて、手に持っていた資料の束を床に落としてしまったが、二人とも無事だと聞いて安心した。( 拾い上げた資料の束は、安心したのと同時にまた落とした。 )
それで、会話は終了する筈だった。
私は彼に尋ねたのだ。
『今から会えませんか』____
私からの誘いを聞いた最初、彼は無言だった。
当然の反応だと思う。私の口から彼に会う約束を取り付けるなんて、今迄に無かった事だ。
「
「............安心したかったんです」
自分の
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時