女ハ独リ静カニ咲ム ページ3
×××
女は部屋で独り、静かに唄を口遊んで居た。
聞いた事の無い異国の言葉で紡がれる其の唄は、まるで子守唄の様に優しく、何処までも伸びやかで澄んでいる。
化粧台に並べられた小物達は、陽の光を浴びて一つ一つが宝石みたいにキラキラと輝いていた。
「......時間かしら」
そろそろ行かねばならない、女は部屋の壁に掛けられた時計に瞳を向け、現在時刻を確認する。
約束の時間が近づいている事に気付くと、女は最後の仕上げをする為に、化粧台に並べられた小物の中で一際目立つ装飾を施された品に手を伸ばした。
女の薄い唇に引かれるのは、誘惑する様な濃い紅色。
緩い癖の有る柔らかな髪を纏め、淋しい胸元には
「............女は常に、秘密を纏っているのよ」
＿＿
秘密は胸元で輝く首飾だ。
***
ヨコハマの或る広場では、目立つ格好をした集団が居た。男が五人、女が一人と
其の中の一人、ハンチング帽を被った農作業着の青年が、広場に設置されている時計に目を向けると「そろそろ時間だね」と、呟く。
「本当に此処に来るのかしら、嘘を付いている可能性だって有りますのよ」
日傘を差し、豪奢なドレスを身に纏った女は溜息を吐いた。女の隣に立つ牧師風の黒衣を着た男の方は、眼鏡を人差し指で押し上げると、黙々と聖書に目を通している。
如何やら彼等は誰かと待ち合わせをしている様だ。
「でもさ、本当楽な仕事だったね! 皆、
癖毛の青年は、良い事を思い付いたと云う様に指をパチンと鳴らし乍、周りに居た
だが、彼等は青年の提案を最初から聞いていないと云う様に
「あれ 無視?
歩む足を止めた。
彼等は現れた人物を見詰る。
「御免為さい、待たせたわね」
「......あァ、漸く来たのか 待ちくたびれたよ」
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ﾔﾖｲ―さん» 有難うございます！コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (
レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ﾔﾖｲ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ﾔﾖｲ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです！ 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ﾔﾖｲ― - 早速の続編！ありがとうございます！！(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミサぽん | 作成日時：2019年6月16日 15時
