検索窓
今日:24 hit、昨日:0 hit、合計:100,870 hit

刀ノ折レル音 ページ1

×××


___何かが壊れた音を聞いた。



尾崎から奪った携帯でも無い、もっと別のモノ。
携帯が壊れたと同時に、泉の中の何かも壊れてしまった。小刀を地に落とし、完全に放心状態となった彼女に近づくと、尾崎は彼女の細い肩にそっと手を添える。

知られたくなかった真相を、彼女がもっとも強い信頼を寄せていた中島に聞かせた事により、尾崎は泉の【心】を粉々に砕いたのだ。黒服の男達の背に隠れ尾崎は中島の方を振り向くと、狐を連想させる様な、妖艶で不敵な笑みを浮かべた。


「後は任せたぞ」


其の言葉と共に、武装した男達は銃口を一斉に中島に向ける。尾崎に肩を抱かれ、歩き出した泉の姿を中島は見ているだけしか出来なかった。
身体は既に限界を迎えていて、立つ事すらままならない。向けられた銃口との距離は僅か十数センチしか無かった。引金を引かれて仕舞えば、避ける事は出来ないだろう。


「ぐ......!」


彼女の側に居たのに、自分は何も出来ずに居た。悔しくなり、彼は震える手をギュッと握り締める。
もう駄目だ__ 中島は自分の状況から死を覚悟し、其の瞳を閉じた。

その時だ。


「頭 下げてくださーい」


この場に合わない、陽気な声がしたかと思えば黒服の男達が乗って居た車が宙を大きく舞い、飛んで来たのだ。

中島はギョッと目を大きく見開きながらも、言われた通りに頭を下げる。車は彼の身体に中るスレスレの処で、ガシャアッと崩れながら着地する。


「......!?」

「おー 飛んだ飛んだ」


車を宙に放り投げたのは、武装探偵社社員である『宮沢 賢治』と云う少年だった。麦藁帽子に水色のつなぎを着た彼は、怪力の異能力『雨ニモ負ケズ』を所持している。その為、彼には打撃攻撃は殆ど効かないのだ。


「大丈夫か 敦」

「国木田さん......何故」


彼等は此処を知らない筈、なのに如何して自分達が居る場所が判ったのか、中島は姿勢を低くする国木田に、何故この場所が判ったのかを尋ねる。


「鏡花の携帯に着信があれば、信号を出すよう手を入れておいた」


国木田は淡々と理由を説明すると、中島の服の襟首を、まるで猫を摘む時の様に軽々と持ち上げて地面から立たせる。


「立て、何時まで守れ役でいる心算(つもり)だ。 刺されても起き上がる根性骨(タフネス)が、人虎の売りだろう」


彼の言葉で、中島はハッと気付かされた。



“ 己が為すべき事を為せ ”


×××

*肖像*→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (110 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
392人がお気に入り
設定タグ:太宰治 , 文豪ストレイドッグス , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。