少女の後日譚 ページ9
「告白が科学者の言葉の暗唱ってどうなのよ」
ダイナマイトを作るからと言って起こされ、まだ朝日も昇りきらないなかテントの外へ出た。
そこにはゲンやクロム、羽京たちが待っていて、朝のあいさつを交わすより先に、ゲンがそう切り出した。
唐突な言葉に、私はびくりと肩を揺らす。
隣で耳に指を突っ込み呆れ返る千空は、これ以上ないくらい面倒くさそうに顔をしかめていた。
「テメーらやっぱり聞いてやがったか」
予測していた彼にも驚きが隠せない。
え、嘘でしょう、全部聞かれてたの？
せり上がってくる恥ずかしさに、顔が熱を帯びるのが分かる。
これほど楽しい瞬間聞かない方がおかしいと、逆に胸を貼るゲンのにやけ面、一回はひっぱたきたい。
デリケートな話なのに、千空は特に気にしてないような顔でそっぽを向いている。
「てゆーかさ〜ほら、今こそ言う時じゃないの？こういう時じゃないと言わないんだしさ〜」
「あはは。千空はそういうタイプじゃないでしょ」
煽ってくるゲンと羽京の言葉を聞いて、千空のガーネットがちらりとこちらを向く。
まあ、そうだね。
言わないよね、知ってる。
男がそんな事いちいち言うかよ、と彼なら言うだろう。
助け舟を出してあげようと、私は彼の手を握る。
「いいの。千空は言葉じゃなくて、それ以外のたくさんで伝えてくれるから」
まさか私が口を挟むと思ってなかったのか、その場にいたみんなが目を見開いた。
千空ですらビックリしてるのがなんだか笑える。
「手の温かさとか、月の美しさとか、歩くスピード、眼差し、全部に意味が詰まってることを教えてくれたから、もういいんだよ」
今まで気づかなかった、彼の些細な言動すべてに意味があること。
節々に隠された気持ちの欠片を探すのは、なんで今まで出来なかったんだろうというくらい、私の得意分野だった。
「それに、千空は科学に嘘はつかな」
「あーーーもういいそれ以上は言わねえでも分かる」
私の言葉を遮る千空の顔は、私からは見えない。
けれど彼の正面に立つゲンたちがニヤニヤしてるから、喜んでくれてるのかな。
手を握ったまま顔を覗き込もうととしたら、さっと手を離されて歩き出してしまった彼。
「おう千空の照れた顔見れなくて残念だったな」
颯爽と歩き去る千空を追いかける。
照れた顔も見てみたいけれど、もう私は視覚に頼らなくてもいいんだ。
彼の手を握っていたとき、こっそり手首に添えていた指先から伝わる振動を思い出し、私はにんまり笑った。
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sora(プロフ) - キャンディさん» 書き込みありがとうございます。アニメとはまた少し違う解釈ですが、私なりにDr.STONEを描いているので面白いと言っていただけて嬉しいです。まだまだ長い物語ですので、気長に読んでいただけると幸いです。よろしくお願いします。 (11月2日 9時) (
レス) id: 90b12c249d (このIDを非表示/違反報告)
キャンディ(プロフ) - アニメ3期の後読みに来ました！面白いです！！面白すぎて一気読みしてしまった (10月28日 12時) (レス) @page26 id: 467824b5e4 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - バレーボールさん» 書き込みありがとうございます。お返事が遅くなり大変申し訳ありません。アニメより原作沿いで書いていましたので、少し噛み合わないところもあったかと思いますが、ここまで読んでいただきありがとうございます。アニメ3期の後にでも続きを読みに来てください。 (2022年6月1日 9時) (レス) id: a1dae06abc (このIDを非表示/違反報告)
バレーボール - アニメでストーリーを見るのと平行してここまで読ませて頂きました。原作のストーリーとキャラクターのイメージを壊さない物語構成と文才に感動しました。こんなに素晴らしい作品を読ませて頂けて光栄です。ありがとうございました。 (2022年3月30日 15時) (レス) @page8 id: d448fd1791 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - スズさん» 書き込みありがとうございます。徹夜は体に悪いので程々にされてくださいね。アインシュタインの手紙は、私も初めて知った時はっとしました。Dr.STONEの根幹にあるといいなと勝手に思っています。完結までもう少しありますので、最後まで読んでいただけると幸いです。 (2021年5月15日 10時) (レス) id: 245919ea47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年1月12日 14時
