この首領ありて斯にこの参謀ありとは。 ページ41
中原side
俺が言うと、きまりが悪そうに目線を逸らした。
そしてカップを置くと、手を組み肘をついた。
『旦那ァ、人は完璧じゃねぇ...できねぇことだってあンのさ』
「誰だよお前」
Aはガンッと勢い良く机に突っ伏した。
俺は再びため息をつき、珈琲を口に運ぶ。
あ、これうめぇ。
『...やり方が判んない』
「祝いにやり方もあるか。今日の朝普通に梶井にプレゼントあげてたろ。あれと一緒だ」
『梶井と首領じゃ話が違うよ...冥王星と蟻だよ』
「どんな例え方してンだ」
差がありすぎだろ。
毎年、この日になるとAは決まってこうなる。
マフィアが主催する首領の生誕
首領のいない間に執務室の机に置くか、誰かに渡してもらうかのどっちか。
前回は広津に頼んでたな。
此奴はやり方が判らないの他にも、恥ずかしいというのもあるだろうが...。
「...いいか、養子だとしても手前は娘だ。あんな首領でも恩人で唯一の親だろ」
『中也今、"あんな首領"って言った?』
「とにかく、祝う事も感謝を伝える事もこういう時しかできねぇんだ。くだらねェ考えは捨てろ」
『...判ってるよ、判ってる』
そう言って突っ伏したまま顔を横に向けた。
俺の方じゃないから、どんな表情をしているのかは判らない。
カップに残っている珈琲を飲み干し、席を立った。
「
『はいはい』
「"はい"は一回でいい。
珈琲、ご馳走さん。また来る」
「はい」
扉を開け、拠点への帰路を歩く。
通り過ぎる人の中には、子連れの家族も見えた。
AもAだが、首領もそうだ。
彼奴の誕生日になると俺か姐さん、広津にプレゼントを預けて渡すように頼む。
一番祝いたい筈なのに、親子揃って直接祝わない。
「変なとこで似てンだよなぁ...」
俺の呟きは人混みに紛れて消えた。
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でんでん - 徳永さんの黒の時代がとても面白いです! (2月26日 0時) (レス) @page7 id: e3b856a7a9 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://cdn.picrew.me/app/share/202005/258388_pj2ocJeQ.png (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - ミニ徳永ちゃん (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - 夢主徳永ちゃんです!Pcuruで作りました (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://p02.nosv.org/?src=https%3A%2F%2Fcdn.picrew.me%2Fapp%2Fshare%2F202005%2F42922_NjYLl6l1.png&w=600&h=&ext=1&zc= (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年1月13日 1時