検索窓
今日:67 hit、昨日:247 hit、合計:775,787 hit

解き放たれた少女とは。 ページ26

中島side


僕、そして芥川はフィッツジェラルドに勝った。


白鯨(モビー・ディック)』を止めることも成功した。

__鏡花ちゃんのお陰で。


彼女は無人機に乗ったまま、『白鯨(モビー・ディック)』へと突っ込んだ。


僕たちを守る為に。

そして、本当の探偵社員となる為に。


自分の命を犠牲にして。


「如何して彼女が...如何して......」


街を救ったとしても、彼女を救えなきゃ意味がない。


「鏡花...愚か者め。
光に生きる希望さえ抱かなければ...無駄に散らず済んだものを」


隣で芥川が海を見つめながら言った。

何か言い返そうとしたけど、芥川の言っていることはあっているような気もした。


僕は、ただ下唇を噛むことしかできなかった。


「これで善かったのだよ、敦くん」


突如聞こえたその声。

顔を上げると。砂色の外套を着た人が僕たちに近づいてくるのが見えた。


「太宰さん...」

「鏡花ちゃんは自分に克ち、街を救った。探偵社に相応しい高潔さでね。彼女は望みを叶えたんだ」

「でも...でも!彼女が死ななくちゃならない理由なんて何処にも...!」


そうだ。

彼女が死なずとも、皆を救える方法があった筈なのだ。


けれど、帰ってきた言葉は違った。


「確かに、厳しすぎる結末だね。でもそうしなくてはならない理由があったのだよ」


理由?


僕が疑問に思っていると、コンビナートから人影が見えた。
暗くて誰なのか判らない。


その人が足を止めると共に、草履の音が辺りに響いた。


社長だった。


思わぬ人物に驚いていると、太宰さんが説明を始めた。


社長の異能__『人上人不造』は自分の部下、つまり探偵社員にのみ発動するもの。
内容は、"異能の出力を調節し制御を可能にする"制御能力。

僕が腕や脚だけを虎化できるようになったのは、探偵社に入ったから。


「そして鏡花ちゃんは入社試験に合格した。衝突の直前にね。それが如何いう事か、判るかい?」


太宰さんの言葉が頭の中でぐるぐる回る。


理解できたのは、後ろで気配を感じた時だ。
ハッとなって振り向く。

そこには__








「夜叉の刀で鎖を斬って脱出した」








僕は思わず、鏡花ちゃんに抱き着いた。

やっと、とは。→←助けた理由は二つとは。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (560 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1041人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

でんでん - 徳永さんの黒の時代がとても面白いです! (2月26日 0時) (レス) @page7 id: e3b856a7a9 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://cdn.picrew.me/app/share/202005/258388_pj2ocJeQ.png (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - ミニ徳永ちゃん (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - 夢主徳永ちゃんです!Pcuruで作りました (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://p02.nosv.org/?src=https%3A%2F%2Fcdn.picrew.me%2Fapp%2Fshare%2F202005%2F42922_NjYLl6l1.png&w=600&h=&ext=1&zc= (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年1月13日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。