important:18 ページ38
・
『そういえば萩原って、付き合う前からAさんの話ばっかだったよな』
唐突に誰かが切り出したんだ。
それから乗っかるように『それな』『懐かしいな』なんてみんな大笑いしていて。
「…随分私のことが好きなようで」
「そりゃあもう、めちゃくちゃ好きですよ」
彼らの話を思い出して、恥ずかしさで、研二の背中に顔を埋める。
『こいつ、最初から恋愛相談の話ばっかだったんだよ』
『むしろそれしかしてなくね?』
『いきなり連絡したら変に思われない?キモイとか思われない?って、ずーーーっと言ってたな』
『連絡すればいいだろって言っても、でも〜だって〜とかうじうじしやがって』
『懐かしいな。見ててうざかった』
『全然脈ないから無理〜でも話したい〜あわよくば会いたい〜って。恋する乙女かよ』
『そんでAさんにメッセージを送るまでに数ヶ月かかったわけですよ』
『返信来たときの萩原の喜びようがヤバかった。踊ってた』
『なんなら手取られて一緒に踊らされた』
『二人で出掛ける前日なんか、緊張する〜この店行くつもりなんだけど大丈夫かな?この格好変じゃない?って騒がしかったなぁ』
『付き合うことになったって聞いたときは素直によかったなと思ったんだけど、涙目でちょっと引いた』
『Aさんのこと好きすぎなんだよな。片思い拗らせすぎ』
『だって高校のときから好きだったんだよ!?しかも脈なし!嬉しすぎて夢かと思ったね!!』
そんな話を聞かされて比喩ではなく本当に顔から、顔どころか全身から火が出るかと思った。
「…どんな顔して聞けばいいかわかんなかった」
「顔真っ赤にしてたな」
煙を吐き出しながら研二は小さく笑った。
「でもAに知られたのちょっと恥ずかしいなぁ」
「…毎日のように好き好き言うくせに?」
「それとこれとは全然別よ。片思いしてたときの話なんかかっこ悪いじゃん」
「付き合ってから研二のかっこ悪い部分いっぱい見てきたよ」
そう言ったら振り返って、「それとこれとは全然別」と悪戯っぽく笑われた。
「体冷えるしもう中入ろ」
「ん」
お腹に回していた腕を離すと体を反転させた研二に抱きしめられた。
ゆっくりと研二の顔が近づいてきて、キスするんだなと目を瞑る。
唇が重なって、少し口を開いたら舌先を遊ぶように触れ合わせて、それからすぐに唇は離れていった。
「…苦い」
口の中に広がる煙草の苦味に顔を顰めたらごめんと研二は笑った。
176人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます! (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー!とっても素敵ですね!ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年5月16日 3時