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萩原が何度も何度も瞬きを繰り返し何か言いかけて、迷って。口をはくはく動かす様を見つめる。
シンと静まる空間で自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえて案外緊張してるんだなとどこか冷静な自分がいた。
ようやく言いたいことが定まったらしい萩原の細かく動いていた目元は落ち着き、代わりに強い眼差しが私を射抜いた。
「…意図がなかったとしても、女の子の家に招かれたら男は…変に勘違いするかもしれないから」
「うん」
だから他の人を気軽に家に呼んだことなんてないよ。
「…男と密室で二人きりで、しかも寝ようとするとか…ほんと、まじで危ないからね」
「うん」
だから萩原以外の男子と二人きりにはならないし、なったとしても寝ようと思わないよ。
「俺だって、……普通の男だよ」
「知ってるよ」
一つ一つを確かめるように。
まるで答え合わせをしてるみたい。
「…いきなり、キスとか……するかもしんないよ」
「されてもいいと思ってるから、家に呼んだんじゃない…?」
ずっとお互い目を逸らさずにいたせいで羞恥でどうにかなりそうだったとき。
ようやく萩原が視線を外した。それから俯いて大きな溜め息を長く長く吐き出した。
再び静まり返る空間。
でもさきほどよりも明らかに騒がしい心臓は耳と直接繋がっているんじゃないかと思うほど強く脈打ってうるさくて苦しくて痛い。
萩原の心臓も同じくらい動いているんだろうか。
「……あのさ、」
顔を上げた萩原とまた、目が合う。
ぎゅっと掴まれたような心臓の痛みはどこか心地いい。
「俺、吉岡のことが好き。……俺と付き合ってください」
ほんのり赤く染まった真剣な表情。
言葉を脳で理解した瞬間全身に熱が駆け巡った。
なんとなく両思いだろうとは思っていた。でもいざ相手に思いを伝えるとなるとこんなにも緊張するんだ。
「私も…萩原のことが好きです」
そう言うと萩原は嬉しそうに目尻を下げてへらりと笑って緊張から解放された私もつられるようにクスクス笑った。
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理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます! (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー!とっても素敵ですね!ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年5月16日 3時