逆刃刀の女2【銀魂】

満月と土方 ページ35

土方side


一つの病室の前で土方は立ち止まった。

コンコンというノックの音が、静かな病院に響く。



土「入るぞ。A」



そう言ったものの、返事は返ってこない。


おかしいな……寝ているのか…？


ソッとドアを開けると、満月の光が降り注ぐ病室の中で、Aが月を見上げながらベッドに座っていた。


その顔が、あまりにも憂と哀しみを帯びた切ない表情をしていて土方は息をのんだ。


さながらその姿は、月へと旅立ってしまうかぐや姫のような儚さと美しさを持っていた。


土「っ…………A」


虚ろな目をしているAをみたくなくて声をかける。


貴「………！副長、帰ってなかったんですか？」


こちらを向いたAの瞳に光が戻り、ホッとする。


土「あぁ。ちょっと用があってな……」


気まずそうに言葉を濁す土方。Aの右脚にまかれた包帯をみて、眉間にしわを寄せた。

そして勢いよく頭を下げる。


土「…すまなかった。俺が不甲斐ないせいで女の身体に傷をつけちまって。」


そんな土方の姿をみてAはふわりと微笑んだ。


貴「ふふっ。鬼の副長ともあろうお方が、そんな簡単に頭を下げちゃダメですよ？
副長は、悪くありません。


…………私が二度と仲間を失いたくなかっただけですから。」


最後の方は声が小さくて聞こえなかったが、土方は頭をあげた。


土「その……だな…もし、お前の身体に傷が残ったら、

……………俺が責任をとる。」

何故が耳が真っ赤になっている土方。
その言葉の意味が理解できていないようで、不思議そうな表情をするA


貴「……？ わかりました。ていうか副長、私のこと下の名前で呼んでくれるんですね。」


土「…あ、あぁ。やめた方がいいか？」


ほとんど無意識のうちに呼んでいたので動揺した。


貴「いいえ。むしろ嬉しいです。じゃあ私も名前で呼びますね！ 土方さん。」


急に名前で呼ばれて、土方の鼓動は跳ね上がった。


どうして、自分の名前を呼ばれただけでこんなにも嬉しいのか。


絡み合う視線と静寂が病室を包む。

土方がAに近づこうとしたその時。
衝撃の一言をAが放った。


貴「土方さん。私…ミツバさんのこと、知ってるんです。」


土「……っ！？」

満月と逆刃刀の女→←過去回想編19 銀「おいおい、本編どシリアスじゃねェか。ヤバイな。おい新八！なんかボケなさい銀さん命令！！」新「はぁ！？無理ですよ僕はツッコミです！！」銀「使えねーメガネ。」新「振っといてその台詞ですか！？！」

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