逆刃刀の女2【銀魂】

過去回想編1 ページ15

貴方side


私はある村の神主の娘として生まれた。

神社の名前は睦月神社といい、村の人々からは慕われていた。そして年一度開かれるお祭りでは伝統の神楽を披露して村人をたのしませていた。

村には子供が少なかったので、私はたくさんの人に可愛がられ、すくすくと育った。


貴「父上、母上！！Aはもうこんなにも神楽を舞えるようになりました！！」

父「そうかそうか！！Aは覚えが早くてすごいなぁ。」

母「まぁ！頑張りましたね。A」


父は明るくておおらかな人だった。

母は穏やかで優しい人で、なによりも母の舞う神楽は美しかった。


二人が愛情を注いでくれた幸せな時間だった。

そう、幸せな時間だった。

幸せが一瞬にして崩れ去るあの時までは。


それは私が朝御飯を食べている時だった。

母や父は神社の掃除をしていた。

なにやら外が騒がしくなる。

不思議に思って玄関の方向に行くと、決死の表情の母と父が戸を開け、私を庇うように覆い被さった。

母「逃げなさい！！！早く！！」

父「逃げろA！！！！」

母と父がさけんだその刹那。


ザシュッ！！！

私の顔に血が飛び散る。

そして地面に倒れ伏せ、赤い血を流している母と父。

貴「は、母上…？ち、父上？」

今何がおこったのかまったく理解出来ず、地面に転がる母と父に手を伸ばす。

その手は届かず、私は何者かに蹴り飛ばされた。

「おいおい何してんの〜？女の方は美人だったんだから殺しちゃダメだろ〜！？」


「いやー抵抗するもんだからつい。」

そこには刀を持った汚らしい笑みを浮かべた男達が立っていた。


盗賊だ。逃げなければ。頭では理解出来ているのに、体が動かない。

「ほら、そこに転がってるガキ、まあまあの美人だから、どっかのマニアにでも売れば高くつくんじゃねぇか？」


「それもそうだな。おい。連れて行け。」


私は手を縛られて男達に連れていかれる。

母と父が殺された。その事実を信じたくなくて叫び声一つだせなかった。

村は襲われ、血の海だった。
お菓子をくれたおばちゃんも遊んでくれたおじちゃんも死んでいた。

「あーあ。あの村全然金目のものねーじゃねーか。」

「まあもう少しの辛抱だ。コイツを売れば少しは金になるだろうよ。ほらっ！さっさと歩け！！」


あぁ。売られるのか。
もうどうでもいいや。
早く死にたい。母と父や村の人達に会いたい。
絶望に打ちひしがれ抵抗する気力さえ残っていなかった。

虚ろな目をして森の中を歩いていた時だった。

あの人と出会ったのは。

松「おや？何をしているんですか？」

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