うちのマネは女装男子でした５【男主】

150話 ページ5

No side





「おかえりなさいませ〜」


「おかえりなさいませご主人様」





篠宮Aはまだ恥じらいの含んだ笑顔で客を迎え入れる同級生を控え室の隙間から眺め、顔を強張らせた。


Aのシフトの時間は刻一刻と迫っている。





『……俺あの中に入んの…？』


「頑張れ」


『しかも男1人で？こんな悪意しか込もってないシフトにしたやつ誰？？』





執事としてのホール担当の男子はAを含めて6人いる。


なのにAは10分後に執事1人で教室の真ん中に立たされることになる。





『…うわぁ……』


縁下「諦めろよ、とか俺に言ってきた奴が今更何やってんの」


『逆の立場だったら絶対お前そんなこと言えないからな』





そしてついに10分が経ち、Aはメイド喫茶となった教室に足を踏み入れた。





『………いらっしゃいませ、お嬢様？』





ぎこちなさを少しばかり含みつつも笑顔でAは言いきった。


途端に教室中から歓声と拍手、黄色い声が飛び交う。





「きゃあぁぁぁ！！」

「え！？嘘！！篠宮くん…っ！？」

「待って待って無理無理カッコよすぎ！！」

「写真写真写真！！！」





1年から3年までの女子が悲鳴に近い声を上げながらAにカメラを向ける。


一方でAは同じシフトの女子に注意されていた。





「いらっしゃいませ、じゃなくておかえりなさいませだからね！」


『あ、そっかごめん』


「おかえりなさいませご主人様、はい」


『…おかえりなさいませ、ご…ご主人様』





まだ照れが残っているAは微かに頬を赤らめ、つっかえながらも女子の言う通りに復唱した。


教室にいた男女数名が卒倒した。




そんなAの写真を1枚撮り、縁下はバレー部の全体LINEに貼った。





谷地 (んななななっ…！！Aさっ……ヒエェェェ！！！)


清水 (シフト終わったら行こうかな…)


菅原「旭、大地、2-4行くべ」


東峰「俺シフト…」


澤村「これだからヒゲチョコは…」


東峰「なんかごめん…でもヒゲは関係ない……」


月島 (保存完了…)





数分後、バレー部が押しかけにきた。

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