うちのマネは女装男子でした５【男主】

169話 ページ25

縁下side





いやいや…あのなんというか…ほんとさすがで。





澤村「これは2年連続スガの優勝か？」


山口「ありえますね…！」





でも、





「それでは最後の方です！エントリーナンバー15番！」





コイツを忘れちゃいけない。






『こんにちは、烏野の皆さん』






いつもより1オクターブほど高いキレイな女声で、



真っ白のウェディングドレス姿。



……それはそれは美人なAが微笑みながら登場した。



その圧倒的な美しさに会場はしんと静まり返った。





「お、おいアレは女子だろ…」

「可愛すぎねぇ…！？」

「でもあんなに美人な生徒見たことねぇよ」





次第に騒めきだした会場をゆったりと見渡し、Aは口を開いた。





『…私、ある人をしてるんです』





そう言ってキョロキョロと周りを見る。


どんな仕掛けがあるんだと男女問わず続く言葉を待つ。






『……この文化祭で私の心を奪った王子様♡』






ふわりと優しい笑顔を浮かべ、そのまま退場しようとする。





「俺が！俺が王子様です！！」


「王子様になります！！ならせてください！！！」


「名前！せめて名前教えて！！」





必死の男子生徒にAはピタリと足を止め、半分だけ顔を振り向かせて答えた。








『……女は秘密が多い方が魅力的でしょ？』








桜色の唇に人差し指を押し当ててクスッと笑うと、


名乗らずに退場した。




一応この女装ミスコンのルールとしては入場から退場を含め、1分間自由に自分をアピールすることの出来る時間が与えられている。


喋っても良し、喋らなくても良し。


つまり学年やクラス、名前は本人たち次第だからルール違反ではない。





「…ヤベェェェェェェ！！！！」


「惚れる！！てか惚れた！！」


「ちょっ、何者！？15番ヤバくね！！？」


「めちゃくちゃタイプなんだけど！！」


「てかアレは男じゃないよな！？女子だよな！？」





蜂の巣を突いたような騒ぎ


男だとわかっていても興奮する男子


あんだけ美人ならさぞかし素顔もイケメンだろうと期待する女子





「皆さん落ち着いて！落ち着いてください！！これから投票に入ります！！」





司会者のマイクの声すらも聞こえにくいほどに女装ミスコンは盛り上がった。

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