162話 ページ18
No side
牛島「…それが、原因で……辞めたのか…？」
『……耐えきれなかった、心も身体も。…とにかくズタボロだった』
牛島「……っ…！」
牛島は知っている。
篠宮Aという者は中学生の頃から簡単に弱音を吐くような人物ではないということを。
精神的にも、身体的にも多少の痛みに負けるような者ではないということを。
たとえバレーに関することで辛いことがあってもそこから逃げることはないということを。
だからこそ、
彼が余程苦しんでいたのだと想像がついた。
天童「……部活なんかやってて本当に大丈夫なの？喘息っていったら呼吸器疾患なわけじゃん？ヤバいよね？」
『…………まあ、キツい、ですね。症状が出ない時はすっげぇ元気なんだけど、やっぱ全身運動は……息が苦しくなりやすいですし』
天童「さすがに走り込みとかダッシュは免除なんじゃないの？」
『いや、全部全力で走りますよ。だって言ってないですし』
そう、バレー部員の誰ひとりとしてAが喘息を患っているということ知らない。
天童「え！なんで！？」
『言う理由も必要性もないじゃないですか。変に気を遣わせたくないし、今の部活の雰囲気を壊したくない。…いい環境なんですよ、うち』
部のことになると、ようやくAの表情が緩くなった。
すると、
牛島「…つまり……」
ずっと黙っていた牛島が口を開いた。
牛島「…Aはまだ、バレーを諦めていないんだな？」
その問いの中には
牛島の切望が込められていた。
『……そんなの、当たり前じゃん』
牛島「……！」
Aはニカッと笑って見せた。
『どんだけ俺がバレー好きだと思ってんの？
バレーがストレスで喘息になっても、バレーが好きでたまんない。
どうやったらまたコートに立てるかって考えてる本物のバカですよ？』
かつて天才だと謳われた彼の目は、どんな困難にぶち当たろうとその輝きを失っていない。
『もう一度、若利くんと同じコートで、同じボールを追いかけるから。
それまで俺は絶対、諦めるつもり、ないから』
牛島「……そうか…なら、いい」
牛島の固い表情がどこか柔らかくなったように思える。
隣に座る天童は牛島の横顔をチラリと見ながらそう感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1729人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニノ - マジ神ですね！一瞬ではまりました！リクエスト良いですか！？ (2021年3月3日 23時) (
レス) id: 2da73a2d31 (このIDを非表示/違反報告)
焔蘭 - 初めまして!!!!めっちゃ面白いですね！私にもそんな文才を分けて欲しいです笑頑張ってください！ (2019年3月6日 11時) (レス) id: 11e9f49b77 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶クリーム - 皆様すみません！！ご迷惑お掛けしてます！！私の方も新しくURLを所得してまいりますので…!!!!本当にすみません┏○┓ (2018年1月13日 9時) (レス) id: 9fe09aed16 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あ、いえいえ。そうなんですね。バグですか……。明日には直ってるといいですね。一刻も早く直ってほしい限りですね……！ (2017年9月18日 20時) (レス) id: cc7912d21e (このIDを非表示/違反報告)
ぱや(プロフ) - 美桜さん» 只今作者も確認しましたが作品内のURLだけでなく、HPの方からも見れなくなっています(;_;) 何らかのバグかも知れません、ご指摘ありがとうございます。解決方法探してみます！ (2017年9月18日 20時) (レス) id: ab4af77f12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱや
| 作成日時：2017年8月20日 20時
