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028:視線は無視して ページ29







昇降口を出て校門へ向かうと、遠回しに周りからこちらを窺われているのが分かる。



なんたって私の隣を歩いているのは、強豪と評されるあの男子バレー部の主将で、

全校が認める美男子。





それに加えて私は、宮ツインズのいとこでいろんな噂を身に纏っているのだから、

まわりの人がこちらを粘つく視線で見つめるのにも納得。




不釣り合い。

だけど、やっぱり、やっぱり隣にいると高鳴るけど、何処か落ち着く。



雁字搦めの視線がさすように私を睨みつけているよう。

だけど隣に立つ凛としたこの人は、そんなものをなんとも思ってないように真っすぐに前に目を向けていて、肩の力がすうっと抜けた。




続いていた沈黙がいたたまれなくもあり、安心できていた空間に思わず口を開いた。



「……北先輩は、」



からからに乾いた私の声に、彼はこちらに目を落とした。

意外とすぐ近くにある彼の肩は思っていたより背が高い。



「何で、私と帰ろうって思ってくれたんですか」




私が勝手に想ってるだけ。

対して関わりのないはずの私たちで、強いていうなら彼は振った側なのに。


この言葉の端々から、まだあなたを想っている私に気づいて欲しい。





「せやな、なんやろ」



ぽつりと呟いた彼に、心がとくんと笑う。



「篠原さんがなんで告白してくれるまでに俺を好きになってくれたんか。

 それが知りたかったし」



ちょっと微笑む彼の顔、また新しい表情が見れた。

きゅんと胸が鳴く。



「それに、俺仲良くしていきたい思てるいうたやんか、忘れてもうたん?」




やさしく、悪戯っ子みたいに笑う彼がやっぱり大好き。



見惚れて思わず言葉を失った私に、ぱらりと雨が舞い降りる。

次第に増えていく雫の数に驚いていると、


肩をそっと引き寄せられた。




再び驚いた私が、その腕の中で、腕の主を見上げた。

困った風に笑う北先輩がそこにはいた。


「相合傘なってまうけど、女の子に風邪ひかせたら、バァちゃんに怒られてまうから堪忍してな」



引き寄せられたその傘の中で、

私は小さく呟いた。


「…忘れるわけないじゃないですか」




少しずつ強くなっっていく雨音の中で私の声は彼に届かなった。


思っていたよりも薫る彼の媒体を吸い込む。

形容しがたいその香りに心が安らいだ。





「…仲良くしていきたいって、

 私から来てもいいですか?」



二人だけの世界みたい、




「勿論や」




また勘違いしちゃいそう。

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パルム(プロフ) - らさん» コメントありがとうございます!確かにそうだな、と考えなおしました。北さんに二度目の好きを洩らした後のヒロインと北さんの展開はご想像していただけると幸いです。これからもっとその人物に寄りそう素敵な小説が書けるように努めさせていただきます。 (2021年8月9日 19時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
- んー、2回もヒロインに告白させるのは北さんぽくないなぁ、、、せめて2回目は北さんからの方が綺麗なお話になっただろうに少し残念です。 (2021年8月9日 9時) (レス) id: c2c5a94e17 (このIDを非表示/違反報告)
パルム(プロフ) - 、さん» 教えてくださってありがとうございます!私自身もともと機械などに疎いのですが、うらつくが好きなので投稿させてもらっている次第でした。自分なりに調べてみて、今は外したことになっています。正直すごく不安なので、教えてくださると幸いです。 (2020年8月16日 6時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パルム | 作成日時:2020年8月16日 0時

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