015:人生晴ればっかじゃないのは ページ16
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悩みっていうのは、簡単に消せないものらしくどんどん増えていっている。
嫉妬からくる陰口。
治くんの好意。
なかなか手ごわいにきび。
角名先輩の謎の一言。
それと、北先輩に全然会えないこと。
姿を見るだけで勿論心は弾む。
だけど、彼のために自分磨きをしている私にとって見てもらえないということは、なんともモチベーションが上がらない。
目が合ったら、少し想像してしまって、また頑張ろうと思うのだけど。リアルっていうのはどうも、そうはいかない。
降りたバス停で別れた角名先輩は、用事があったらしく、すまなそうに駆け足で去っていった。
また会おうぞ、チベット先輩…!
一人校門をくぐり、ぽてぽてと歩いていると、
「Aちゃん!!」
後ろからでか声。
希望的予測、侑くん。でもこの声は、
「Aちゃん、昨日はいきなりすまんかった」
治くん。
「Aちゃんが弱ってるところに漬け込むみたいな真似してもうて、ほんまにごめんな」
頭を綺麗な直角に下げた治くんの銀色の髪が風に乗ってさらさらと揺れる。
「いや、こちらこそ昨日はごめんね」
「いやAちゃんは悪くないやん!」
とことん優しすぎる治くんに、優しい笑いが喉から漏れ出すのが自分で分かった。
「なんや治、どうしたん」
背後から、ずうっと聞きたかった声。
決して大きい声じゃないのに、周りを通す澄んだ声。
「北先輩」
聞こえてきたそれに、なんだか泣きそうな思いで、彼を振り向く。
目が合う。それだけで、胸がいっぱい。
何故か、驚いたような顔をしている北先輩。
やっぱり綺麗だなあ、と心底思う。
「おはようさん篠原さん」
「おはようございます北先輩」
名前で呼ばれたいな、なんてふわふわ烏滸がましいね。
呼んでみたい、っていうのは内緒。
「治、なんで篠原さんに謝ってたん?」
どことなく鋭い声。かかわりが深いわけじゃないけど、なんとなく怒ってると感じた。
なんだかこの空間だけが、緊張した面持ちのように感じたとき、
「くそサム、なに先いっとんねん!起こせや!」
凄いスピードで駆けてくる侑くん。
眉間にしわの寄せられ、幾分厳しい顔になった北先輩。
北先輩の表情をみて、焦ったように手で侑くんを制そうとする治くん。
ここまで来てやっと北先輩に気づき、顔を青くする侑くん。
「なあ自分ら、人様に迷惑かけとるって思わへんの?」
わあお、カオス。
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パルム(プロフ) - らさん» コメントありがとうございます!確かにそうだな、と考えなおしました。北さんに二度目の好きを洩らした後のヒロインと北さんの展開はご想像していただけると幸いです。これからもっとその人物に寄りそう素敵な小説が書けるように努めさせていただきます。 (2021年8月9日 19時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
ら - んー、2回もヒロインに告白させるのは北さんぽくないなぁ、、、せめて2回目は北さんからの方が綺麗なお話になっただろうに少し残念です。 (2021年8月9日 9時) (レス) id: c2c5a94e17 (このIDを非表示/違反報告)
パルム(プロフ) - 、さん» 教えてくださってありがとうございます!私自身もともと機械などに疎いのですが、うらつくが好きなので投稿させてもらっている次第でした。自分なりに調べてみて、今は外したことになっています。正直すごく不安なので、教えてくださると幸いです。 (2020年8月16日 6時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パルム | 作成日時:2020年8月16日 0時