大好きな君に伝えたい言葉【キルクラ】

＃1　嵐の出会い ページ2

最初に飛び込んできたもの、
それは、見慣れない木の天井

ここはどこだ…？

朧気に眠る前の記憶をつらつらと、クラピカは辿った
ふと、聞こえてきた波の音に思い出す
そうだ、ここは船の中
ハンター試験を受けるため、故郷から1人、出てきたんだった
クラピカにとっては珍しい潮の匂い
不安定に揺れる船
太陽の光から逃げるために、船内に逃げ込んだが、そのままハンモックに揺られ、眠ってしまったようだ
重たい体を起こし、床に降り立つ
手櫛で髪を直せば、短い髪は直ぐにまとまった
汗で纏わりつく服を無視しながら、気分転換に外の空気を吸うため、船室から廊下へ出た

無駄に長い廊下をゆっくり歩きながら、クラピカは先程見た夢を思い出していた
永遠に続いていそうなあの緋の世界の夢を
そして必ず、そこにはいつも彼がいた
決して忘れることのない大切な大切な彼

涙が出そうになる
いつもこうだ
彼を思い出して、笑顔になることなんて私にはない
只、涙が出てくるだけだ
でも、決して泣かないと決めたから、

目の前には船の看板へ続く扉
気持ちを落ち着けてドアノブを握る
向こうには私を待つ人なんて誰もいない
ましてや、仲間と呼べる人間なんて、
それに、絶対にあることはないけれど
私がクルタの民だとバレることもあるかもしれない
気を引き締めなきゃ
この世界で私は1人なんだから

嵐の出会い　2→←＃0　クラピカとパイロ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す