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『………、』
今私はかるてっとさんの部屋の前に佇んでいる。
それは数時間前、私は仕事の打ち合わせが入って少し席をたった。
戻るとかるてっとさんが居なくなっていた。私が抜けてから少しして一気に体調が悪化したらしく「ちょっと休みます」と通話から抜けたらしい。
私はそれを聞いて急いで部屋を飛び出したのはいいものの、インターホンを押そうとした指が寸前で止まった。
私が行って何かできることってある???
雑炊を作ったり??…もう数ヶ月包丁握ってないけど。
あ、それなら薬とか買ってこようか。…いや、かるてっとさんなら風邪薬は常備してそうだよな。
………私が行ったら逆に体が休まらないか。
自分が役立たずすぎて呆れる。
はぁーーーーーと長い息を吐いて、部屋に戻ろうと足を動かしたが、すぐにドン、と大きな物音が聞こえて足を止めた。
え…何今の音。かるてっとさんの部屋からだったよね…?!
私は咄嗟にドアノブを握った。
鍵は開いていて勢いよく部屋の中に駆け込んだ。
入って一番はじめに目に入ったのは少し開いていた寝室の扉。そして次に見えたのは、床に横たわるかるてっとさんだった。
『かるてっとさん…!!!どうしようっ、救急車…っ、』
倒れ込むようにかるてっとさんのそばに座り込んでスマホを出すけど、手が震えてまともに操作ができない。
頭が真っ白だ。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
目元が熱くなって今にも涙が溢れそうになってた時、「んー、」と目の前の彼が起き上がった。
『…は、え……か、るてっとさん?』
「うわ!!……………びびったぁ、」
混乱しながら声をかけると、かるてっとさんがビクッと肩を上げた。
私を見て「なんだAか…」と呟いた彼の顔は真っ赤で、息も荒い。体調が悪いのは一目瞭然だ。
『大丈夫なの……?』
「ベッドから落ちたんだけど、冷たい床が気持ち良すぎて一瞬寝てたわ」
と、そんなことを言う。
いつもなら『馬鹿じゃないの?』って笑って言えたんだろうけど、とにかく何もなかったことにホッとして『…床はダメだよ』とぎこちなく笑って返した。
だけど笑ったことによって、目に溜まってた涙がポロリこぼれ落ちた。
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おゆき(プロフ) - りんさん» うわあ、嬉しいです…!でも心臓痛くなっちゃいましたか…ありがとうございました、と言っていいんでしょうか(笑)コメントありがとうございました。 (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - 雪さん» 素敵だなんてありがとうございます!嬉しいです!自分のペースになりますが、楽しんで更新していきます!ありがとうございます! (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - キュンキュンしすぎて心臓痛くなりました! (2021年4月2日 10時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 素敵すぎて一気に読ませて頂きました!また何回も読ませて頂きます。他の更新ものんびりと楽しみにしていますね。 (2021年3月6日 13時) (レス) id: 35fa8c2320 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - しめじさん» ちゃんと伝わりました!(笑)嬉しいです!ありがとうございます!次作もよかったらご覧になってください! (2021年2月6日 9時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆき | 作成日時:2020年11月29日 9時