【おそ松さん】貴方が好きなのは私じゃなくて【十四松】 (ページ9)

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7話* ページ9

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長いこと泣いたからか段々落ち着きを取り戻していったAをゆっくりと抱く力を弱め身体から離していく。

Aが俺の顔を見て俺にありがとうと、お礼を言ってきた。

別にお礼言われるような事してないんだけど…

ふと、空を見上げると綺麗な夕日が見えた。

あぁ…もう、夕方か

そんな事を考えていると突然俺に謝りながらハンカチで俺のパーカーを擦るA。

ハンカチで拭いたって乾く分けないでしょ…(笑)

我慢出来ずｸｽｯと笑ってしまった。

するとAは顔を紅くさせ『～！そ、そんなに笑わなくても良いでしょ！』という。

だがｸｽｸｽと笑いを止める事の出来ない俺を見てｸｽｯと、Aが笑った。

一「あっ。やっと笑った…」

一「やっぱりAは笑った方が可愛い…」

そう言いながらAの頭を撫でる。

『あっ！私そろそろ家に帰らなくちゃ。お母さん達に心配かけたくないし…。じゃあ私帰るね！またね、一松！』

一「うん…また」

俺に手を振りながら路地裏を出ていくAに手を振り返した。

一「はぁ…」

俺はAが泣いている理由はなんとなく分かっていた。

多分原因は十四松だろう。

Aは十四松の事が好きだ。

その事を知っているのは俺だけだ。

十四松が好きだっていうのはA本人から聞いた。

『実は…私、十四松の事が好きなの…お姉ちゃんと付き合ってるのは分かっているの…でも…』

Aは唇をｷﾞｭｯとつむぎ苦しそうな顔で話した。

なんで俺に話したかは俺自身も分からない。でも、もしかしたら誰かに話して少しでも楽になりたかったんじゃないかと思う。

Aは自分とお姉さんが双子で似ている事が嫌だと言っていた。だけど俺は違うと思った。

声だってAの方が少し高いし。

見た目だって違う。

双子だからって何でも一緒なんてあり得ない。

俺達六つ子だって顔が似てても皆それぞれ性格が違うし好きなことだって違う。

それと一緒だ。

皆皆違うんだ。

…こんなこと思っちゃいけないとは思うけど。

俺…

Aの事が好きだ。

こんな俺にも笑いかけてくれて。

Aはお姉さんとは違う何か…素敵なものを持ってる。

多分俺はAの持っているその素敵なところに惚れたんだろう。

でも、今はこの気持ちは伝えないでAを応援しよう。

自分の恋よりAの恋が大切だから…

でも、もし、その時が来たら俺の気持ちを全部話そう。