俺にしときぃー！！短編集 (ページ5)

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どうにか話を逸らしたくて、おれはいい事を思い出した

「水飲む？買ってきた」

「えっ！！優しすぎん？のむ。ありがと」

コンビニの袋を指すと、その中を見てまたAさんの大きな声

「え！！3本ある！！」

「ん？ああ、2人送って欲しいって聞いてたから」

『『え･･･』』

「私感無量なんですけど･･･」

『山田さん、彼氏さんめっちゃいい人っす』
『ほんとに！！』

またおれの評価があがってしまったところで田中さんの家についたみたいだ

『いや、ほんとにありがとうございました！！！』

気持ちのいい挨拶をして帰って行った田中さん
いい人だったな

そのあと無事に鈴木さんも送り届け、
ようやく車内に2人きりになった

「なるせ、ありがとね〜^^ ほんとに^^」

「いーえ！マジで褒め殺しだったのえぐかったけどねw」

「だってなるせめっちゃスパダリだったもんw」

「んなことねーよw」

「そんなことあるよ〜そうだ！ちょっとドライブしよ〜港行こ〜」

「おー、いーよ」

そこはよくおれ達が行く港
大きな船が止まっていると、その灯りがあたかもライトアップされてるようでとても綺麗で、それはAさんのお気に入りのスポットだ

そこまでは大体20分くらい
ほんとにちょうどいいドライブだ

静かになった車内にAさんのプレイリストが流れる
それを楽しそうに聞きながら、楽しそうに車窓を眺めているAさん

まあ、その様子を見てるだけでもいいんだけど、どこかそっぽを向かれているように感じてしまう

さっきの田中さんのせいかな･･･

ふと感じた寂しさを埋めるように、
無造作に膝に置かれていたAさんの手を握った

「んー？？どしたの」

「んーん、繋ぎたかったから」

「ふーん？^^」

瞬間驚いておれの方を見るも、また視線はキラキラと街灯の煌めく車窓に戻された

でも握られたおれの手にもう片方の手も添えられ、両手でおれの手をにぎにぎしてくれる
それだけで口角は勝手に上がった

特に会話はなかったけど、2人だけの時間
夜も遅くなっていたので道も空いててすぐに港に着いた

夜は少し冷える季節に入っていたから肩を竦めるような姿勢をとるAさん
イチャつくチャンスだった

後ろからぎゅっと包むとうぇっと変な声を漏らされた

「変な声ださんでよーww」

「びっくりしたんだもーんw」

もー、と言いながらも離れようとはしない
それが嬉しくて、また抱き締める腕に力を込めた