検索窓
今日:9 hit、昨日:31 hit、合計:51,110 hit

*一目惚れたァねぇ…… ページ7

.


着替え終わった俺は、わざわざ来てもらうのもと思い、襖を開けると、こちらに背を向けて忙しそうに動く女が。

声をかけようと、口を開いた時、お盆を持って振り返った女は、心配そうな表情を浮かべた。


「声、かけてくだされば良かったのに……」


「いや、なんだか悪ぃと思ってな。

洋服、すまねぇな、洗ってもらっちって」


「いえ、気にしないでください。

その着物は、そこに置いてもらって構いませんから、朝ごはん、食べていってください。」


そう言って、並べられていく朝ごはん。さすが、夜兎族の知り合いを持っているのか、量がハンパない程に盛られていた。


「何から何まですまねぇ」


「いえ、好きにやってることなので……

召し上がってください。味は……自信無いですけどね」


困ったように笑みを浮かべた女は、さっきまで俺がいた部屋に入り、着物やら布団やらを持ってくると、洗濯を始めた。


「いただきます」


きちんと呟いて、箸を取ろうとした時、左側に違和感を感じ目をやると、いつもハマっているはずの義手が無くなっていた。と同時に、慌てたように義手を持って現れた。


「すみません、これ、忘れてました」


「いや、助かった。」


義手を受け取り、左にはめると、今度こそと山盛りに盛られたお茶碗片手に、おかずに手を伸ばした。

典型的な和食。焼き鮭に卵焼き、青菜のおひたしからワカメと豆腐の味噌汁、そしてご飯のてっぺんに乗っかった梅干し。


「……うめぇ……」


甘すぎもなく辛すぎもない卵焼きは、どうやらオレの胃袋を掴んだらしく、箸が止まらなかった。
……いや、ただお腹が空いていただけか?

さっきよりも減ったお茶碗片手に、それにしても……と考えた。

さっきから、忙しそうに動いている女は、一体誰だ……いや、その前によく表情がコロコロと……

お味噌汁を飲みながら、その姿に目をやり続けていると、視線を感じたのか振り返って首を傾げたその姿に、なぜか俺は目を見開き手に力が入った。


「どう、しました?もしかして、まだ食べる、とか?それか、お口に合いませんでした?作り直します?」


「……いや、んなこたァねぇさ。美味いぜ」


聞きたいことがあったのに、それしか出てこなかった俺は、そうですかと少し嬉しそうに微笑んだ女から、目を離せなかった。


……まさか、


「一目惚れ……」


なわけ、ねぇか。

*可愛い名前だ→←*おはようございます 【阿伏兎side】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
19人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 阿伏兎 , 愛され
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。