*意気地無し ページ48
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「利き手が使えないから、始末書も書けやしない」
「まぁ、そんな文句言わないでヨ。」
「あのなぁ……団長がやらなきゃいけねぇもんを、俺がやってるんだ。」
「あり?そうだったんだ、お疲れ〜」
「……」
A救出事件(←団長命名)を、無事成功を収めた俺たちは、真選組が来る前に一足先に戦艦に戻っては、手当てを開始した。
少し厄介だったのか、さすがの団長も所々傷付けられた刀傷を治し、俺も右手の捻挫を湿布を貼って包帯で巻いた。
今度は、溜まっていた仕事を片付け、最後に残ったのは本来なら、団長が書く始末書で、上に出さなきゃなんねェもんだから、まぁ丁寧に書き上げないといけない。
が、利き手が不自由なもんで、時間がかかる。それに拍車をかけるように、団長がダラダラと俺のベットの上で、刀傷を覆っている包帯を閉じたり開いたりて遊んでいる。
「……大丈夫かな、A」
「……さぁな」
「結構酷い咳してたみたいだけど」
「……」
「血も吐いてたし……「だあぁぁぁっ!!」 なんだヨ、急に大声出して」
「なんっなんだ、さっきっから!!A、Aって。
団長がそんな事言い始めるから、まともに進まねぇじゃねェか!!」
「だって……心配じゃないの?」
「……」
「今日にでも、
「っ……」
「どうする?待ってたら。それに、傘どうすんの?阿伏兎。置いてきてんじゃん」
「……団長は、どう思ってんだ」
「は?」
「Aだよ。」
団長と目も合わせず、ポツリと呟くと彼は身軽にベットから立ち上がり、扉に向かった。
「知らないよ、そんなの。
阿伏兎が、Aを愛し抜くとか、護れるかどうか、知るわけないじゃん。
俺は、そんなのどうでもいい。
でも、この
お前が強くないなら、出てけヨ。
言っただろう?
弱いやつに、用はない。
ちなみに、お前にもう一つだけ足しとくよ。
試してもないのに、諦めているやつは嫌いだ。」
「団長……」
「……俺が幼い頃から見てきて、言えることはひとつ。
俺は、お前が弱いなんて、思ったことは無い。
考えなよ。阿伏兎自身が、今どう思ってるのか。」
振り向いてそう言ってのけた団長は、すぐに笑みを浮かべて、頑張ってね〜なんて言いながら、部屋を出ていった。
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rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時