*一人なわけないだろう ページ43
.
「分かるか?Aちゃん」
「……阿、伏兎さん、が……いる……
夢、か……」
「っ……馬鹿野郎。夢なわけあ……」
俺が言い終わる前に、勢いよく咳き込むと同時に出てきた血が、着ていた服を染めると、再び気を失った彼女。
早急にここから出ようと、来た道を戻るため彼女を抱いて振り向くも、そこを塞ぐように居る奴。
「ちっ……」
「おや……これはこれは……
騎士……いや、プリンスの登場か」
「そういうあんたは、こいつを連れ去った魔女……いや、悪魔か」
「クックックッ……
悪魔……素敵な言い方をしてくれますね」
「気に入ってもらえたようで」
相手がニヤッと笑い、俺もニヤッと笑った瞬間、どちらからともなく、駆け寄り、Aちゃんが落ちないように、強く抱きしめると、片手で傘を思い切り振り落とし、刀とぶつけた。
「
「兎たァ、可愛いこと言うじゃねぇか。
そういうあんたは、男かと思ったら……女か」
お互いがお互いの隙をついて殴ると、相手は壁にぶつかり、俺は何とか両足んで踏ん張った。
「チョイと、強く蹴り過ぎたかねェ」
一向に起き上がってこない相手に、呟いた瞬間、煙が晴れた先には、大きく凹みが出来た壁紙のみで、姿が見えなかった。
「なに……っ!!」
「お前をどうやら甘く見すぎたようだね!!」
「う"あっ……」
油断した隙をつかれ、いつの間にか上空へ移動していた相手に、思い切り殴られると、今度は俺の方が壁にぶつかった。
「くっ……!!」
「片手じゃ、戦いにくいでしょうに……
彼女をこちらに渡してくれれば、こんな戦いもすぐに終わらせますよ」
「けっ……
生憎だが、俺は片手だけでも戦えるんでね。それに、こいつは俺の……俺たちのもんだ。お前さんなんかに渡してたまるかってンだ」
口元を伝う血を拭って、浅い息をし続けているAを、抱き寄せた。
「お前1人で、何が出来ると言うんだ。」
そういう相手の背後には、残りの敵を片付けた桂と笑顔の顔に返り血が付いた団長が立っているのを見るなり、俺はニタァっと笑った。
「残念だが、俺ァ、一人じゃないんだな、これが」
「なにっ?!」
「遅かったじゃねぇか。」
「遅かった?何をたわけたことを……」
「阿伏兎の方こそ、遅いんじゃない?いくら腕一本使えないからって、こんなに時間かけるなんて。」
*懐かしい記憶 【あなたside】→←*兄貴の勘【Noside&阿伏兎side】
19人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時