*素敵だと思います ページ20
.
自虐的に笑って言った彼に、私が首を傾げるとマントを翻して、今は亡き左腕を見せた。
「片腕がねぇんだ。本来あるはずのな。大抵の地球人は、この姿を見て逃げていきやがる。」
「……なんとも、感じませんでした。その姿に。」
率直に言うと、その解答に驚いたのか珍しいとでも言うように見てきた阿伏兎さんに言ってあげた。
「むしろ、かっこいいなって。
ほら、よく言うじゃないですか。身体の傷は男の勲章だって。
左腕が無くなった事だって、何かあなたにとって守ら無ければいけないものがあった……
だから、他の人がその姿を見て逃げても、私は逃げません。
だって、私、何かを必死に、命をかけて守るそういう人好きだから……」
缶ジュースを見つめながら話すと、急に静かになった横側の人。
そっと目をやると、じっと私のことを見つめていたものだから、思わず目線を逸らした。
「なんか……ごめんなさい、こんな事……
何言ってんだって、思われましたよね」
「……いや?ただちょっと、驚いただけだ。そんなこと、ましてや女に言われるなんて、思ってなかったからな」
「そう、なんですか?」
「あぁ。うちの師団は男ばかりだから、んな事言う奴ァ一人もいねぇ。
女と関わることも、最近は全く無かったからな。」
「……」
「それに……
気になる女に言われるんだ。気分を害すおとこなんて、いねぇだろ」
「っ!!」
気になる女……
今、阿伏兎さん、気になる女って……
少し、いやかなり動揺しているのか、私が横を向くも、阿伏兎さんはその言葉を気にもとめてないのか、水を飲んでいるのを見ると、はぁ〜……とため息をついた。
「……そろそろ行くか。心配してる頃じゃねぇか?お前さんの兄貴が」
「あ、いえ……兄は、今、逃亡中の身なので……」
着物の後ろを少し払って、再び歩き出すと、どうやら兄に興味を持ったらしく、家に着くまでその話で盛り上がった。
「変なやつだな、お前の兄貴は」
「はい。
でも、すっごく優しいんです。幼い頃から病弱だった私を、早くに亡くなった両親の代わりに、面倒を見てくれて……
だからか分からないんですけど、すっごく過保護で、兄が面倒を見れない時は、友人の人に見てもらってて……」
「Aちゃんにとっては、大事なヤツなんだな」
「はい、とっても。
だから、もし死ぬ時が来たら、兄を守って死にたいな……
なんて、思っちゃったり」
*また明日……だって→←*夕空からの距離 【あなたside】
19人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時