*オジサン、緊張だ ページ18
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ババアの話で、深いため息をつくと、団長が俺のみたらし団子に手を伸ばしながら言った。
「頑張りなよ、阿伏兎」
「はぁ?」
「意外と脈アリかもよ。だって、わざわざ天人助けたぐらいで、ほかの人に話す?」
「まぁ……確かに……」
「デショ?」
いつしか、その辺の女子高生の恋愛相談になっちまった空気に、何度ついたか分からないため息をまたつくと、空になったお皿を取りに来たのかまたやってきた。
「お皿、お下げしますね」
「ねえねえ、お姉さん、なんて言うの?」
「私ですか?Aです。あなたは?」
「俺は、神威。第七師団の団長やってるヨ」
「団長さん……ですか」
「そうそう。
で、この男、覚えてる?」
結局俺の分の団子を食べた団長は、串で指すとAちゃんは、俺の方に顔を向けると笑みを浮かべて頷いた。
「えぇ、もちろん。阿伏兎さん、でしたよね。
こうしてるってことは……無事、怪我が治ったんですね、良かった」
「あ、あぁ……」
「じゃあ、ひょっとして阿伏兎さんが仰ってた、団長さんって……神威さんの事ですか?」
「えっ、阿伏兎、俺の事話したの?」
「いや……まぁ、」
「あ……言わない方が良かったですか?」
俺が微妙な空気を出すと、Aちゃんは申し訳なさそうに、肩を下ろした。
「あ、それよりさ、いつ終わるの?仕事」
「仕事は、あと1時間で」
「じゃあ、俺は寄らなきゃいけないとこあるから行かなきゃ行けないんだけど、阿伏兎は暇だから、この前助けてくれたお礼がしたいって言ってたし、家まで送るのに、付き合ってあげてヨ」
「ちょっ……団長!!」
「お礼なんて……大丈夫なのに……」
「いいからいいから
じゃ、阿伏兎、後は頑張ってネ〜」
あの笑みを浮かべて、俺の肩を叩いたと思えば、代金を押し付けて出ていくのを見送ると、つい目が合うと、照れたように逸らされ、仕事が終わったら来ますと言って、空の食器をもって居なくなった。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
追加で注文した珈琲が、残りわずかになってきた頃、少し慌てた様子で階段を登ってくる足音が聞こえ、振り向くと私服姿の彼女がいた。
「ごめんなさい、お待たせしてしまって……」
「いや、大丈夫だ。
それじゃあ……行く、か」
「はい」
残りの珈琲を一気に飲むと、団長が残していった相当な金額の伝票を持った。
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rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時