彼女の部屋 ページ5
あの場から解放された俺たちはそれぞれ客室に案内されていた。
完璧に用意された部屋は非人工的な感じがしてどこか気持ちが悪く、辺りに人がいないことを確認してからAの部屋に向かう。
コソコソと無意識に足音を立てないように歩いていると背後から声をかけられる。
びくりと大げさなまでに震える肩越しに振り返れば、笑いをこらえるマッキーとまっつん。
花巻「何そんなビクビクしてんの?」
ケラケラ笑いだすマッキーは逆にうるさすぎやしないだろうか。
そうツッコミを入れる前にまっつんが彼をはたいた。
ひときわ重厚なドアを前に一息付く。
こぶしを要らぬほど握りしめてノックする。
確認の声もなく中から開けられたドアの横には皐月さんが立っている。
奥の小さなテーブルにはA、花園に浅野ちゃんと岩ちゃんがハーブティーを飲んでいるところらしい。
一人女子に混ざってハーブティーを飲む岩ちゃんは異様なようで、でもどこか馴染んでいる。
でも、やっぱり花畑に座るゴリラのようだ。
皐月「よろしければ飲まれますか?」
俺があらわにしている敵意を物ともせずに皐月さんは俺達にそう聞いた。
能面のようなその表情の奥にどこか哀れみを感じさせる。
もう一度普通より大きく息を吸う。
落ち着こう。敵を見誤るな、俺。
松川「じゃあ、もらおうかな…」
彼に続いて俺とマッキーも頷いた。
軽くお辞儀した彼はティーワゴンを押してポットを持って行ってしまう。
部屋に残されたのは俺達バレー部3年組と浅野ちゃん。
毎日のようにあっているのに、場所と服装が違うだけで、別人のように思えた。
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2019年4月16日 0時