恋心2 ページ40
ー赤葦京治視点ー
黒尾さん、Aのこと好きなのかなって思ったのは間違いないようだ。
彼女をみる目線、気遣う言動、何かと話しかけているところ…
京一兄さんに、
…そして俺に、そっくりだ。
京一兄さんは妹みたいに大事だと言っているけど、それは自分に暗示をかけているのだと俺は知っている。
そうじゃなけりゃ、普通妹のために飛び級までして医者になるだろうか?
俺も好きでなければ合宿にわざわざ来てみるかなんて打診をしないだろう。
姉のような、妹のような…どこか危うい彼女に抱くこの感情は多分、恋愛感情と言ってもいいものなのだと思う。
でも黒尾さんにも早々に諦めてもらおう。
気持ちが大きくなりすぎる前に終わらせるべきだ。
及川徹という、絶対に勝てない相手と直接対面する前に。
日向を部屋に送り届けて、3人でジュースで乾杯する。
なんだかよくわからないけど、そういう話になったのだ。
赤葦「はぁ…もう23時過ぎじゃないっすか」
ブドウの缶ジュースを飲み干して食堂の時計を見上げると短い針がもう11を過ぎたところだった。
これだけ運動して、のぼせた人を介抱してたらそれなりに時間も体力も食うな…
Aも珍しく眠たそうに目を瞬きさせている。
人前ではあんまりそういうところを見せないんだけど…疲れてるのか、俺と黒尾さんには心を許してるのか…
赤葦「A、一人で部屋戻れる?
俺歯磨き行かなきゃいけないんで」
ゆっくりと重い頭を振る彼女に、これはダメだなと思う。途中で壁にぶつかってタンコブとか作るパターンだろう。疲れが溜まって来ているのだろう、これは本気で眠いやつだ。
やっぱり送り届けようと考えを改めれば黒尾さんが送ると提案した。
冷静を気取って、どうせ歯ブラシを取りに行くからついでだと、半分嘘で半分本当であろうそんな言い訳を。
二人でいさせるのは危険じゃないだろうかという考えがよぎり俺も無理に送り届けることにした。
二階の部屋でまだ起きていたマネージャー達にAを託して、一階の音駒の部屋に歯ブラシを取りに行き、洗面所へと向かう。
赤葦「黒尾さん」
洗面所で歯ブラシに歯磨き粉をつける彼に声をかける。
どーした?と気の抜けた返事が帰ってくるが、俺の言葉を聞いて表情を変えた。
赤葦「あんまり、Aに深入りしない方が、身のためですよ」
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2019年4月16日 0時