恋心 ページ39
ー黒尾鉄朗視点ー
大浴場の湯船に浸かりながら大きくため息を吐いた。
今日も練習疲れたなぁと第三体育館組のメンバーを見ながらそう思う。
チビちゃんはツッキーに泳ぐなと怒られている。俺も2年前はあんなだったかな、なんておっさんぽいことを考えてみる。
まぁ、正直今でもあんまり変わってないような気もするけど。
俺の隣には木兎に話しかけられていて適当に相槌を打つ赤葦が眠そうにしている。
木兎に至ってはそれに気付いていないからかとにかく弾丸のように話題を振る。
布団入るまでハイテンションなくせに一瞬で寝るんだよなぁ…このオンオフの切り替え力分けて欲しいくらいだ。
黒尾「篠原いいよな、可愛いし、バレーうまいし。」
木兎に便乗して赤葦の従兄弟らしい彼女の話をする。
指示は的確だし、割ととっつきやすいしでぜひうちのバレー部のマネージャーになって欲しいくらいだ。
そうやって話す俺らをみる赤葦の目は若干冷たい。
おやおや、嫉妬かなぁなんて思ってみるも、口には出さない。てか出したら木兎もいるしめんどくさそう。
顔を真っ赤にしたチビちゃんをお風呂から出して冷たいスポドリを手渡した。
俺たちはそこそこ煩かったのか、篠原が様子を観にくる。
俺たちの前にもう風呂に入っていたので髪の毛が少し濡れていて、あらわな首が少し官能的だ。
禁欲的なこの状況、合宿中には少し目に毒である。
『あらま、日向くんのぼせたのか…』
日向「篠原先輩、すみません…」
いつもの生気が感じられないチビちゃんの声に篠原は重症だね…と頬をかいた。
夜、監督達はどこかしらへ飲みに出かけているし闇雲に探しにいくのもなんだろう。
黒尾「何か手伝おうか?」
持っていたタオルを濡らして絞っている彼女に問うてみる。
のぼせる奴は基本飲み物渡して放置されるもんで生憎対処法はよく知らない。
…主将として知っておいた方がいいのかもしれないけど。
『じゃあ、脚高くしてくれる?』
黒尾「了解」
チビちゃんの足元に丸めたタオルやら、服やらをつめて脚を高くに上げる。
その間篠原はせっせと冷たいタオルを当てがっている。
黒尾「あー…ツッキー、山口。
澤村に日向のこと伝えてきてくんね?
体調落ち着いたら送り届けるし、布団の準備とかお願い。」
ついでにリエーフと木兎もあんまり使い物にはならなさそうだし部屋に返す。
騒がれても頭に響くだけだしな…
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2019年4月16日 0時