月島くん ページ23
木兎「やっぱメガネ君さ、読みはいいんだけどこう…
弱々しいんだよな、ブロックが。腕折りそうで怖いんだけど」
特に煽りの意味もなく光太郎くんはそういった。
逆に素直な意見だからこそだろうか、月島くんにグサリと刺さったようで表情が一瞬固まった。
…うん、女の私から見ても彼は細いから光太郎くんのスパイクを受けてるのを見ると怖い。
言われるだけなのは性分に合わないようで、彼も負けじと反論する。
黒尾「でも、悠長なこと言ってると”あのチビちゃん”にいいとこ全部持ってかれんじゃねーの？
同じポジションだろー」
クロくんは闘争心に火をつけようと思ったのか、そう煽るように言った。
体育館に一瞬やってくる静けさにクロくんや光太郎くんは不思議そうに月島くんを見た。
…余計な言葉、だったのかな。
なんて私は一人思った。
この前の練習試合、一瞬しか見てはいないけど彼はカッコ悪いことはしない人なんだな、そう思った記憶があるのを思い出す。
高い身長、正確な読み、それを可能にする冷静さ、そしてクレバーさ。
それは長所でありつつも、過ぎれば短所にさえなる。
そんなところだろうか…？
どこか飛雄ちゃんのことになると諦める徹に似ていると思ってしまった。
実際は徹の方がもう少し子供っぽいけれど…
月島「それは仕方ないんじゃないですかね〜
日向と僕じゃ元の才能が違いますからね。」
笑いながら、茶化すような言葉は至極当然だと言わんばかり。
入ってきた音駒メンバーと入れ替わるように逃げ帰る彼。
赤葦「なんか…
地雷踏んだんじゃないすか黒尾さん…」
木兎「怒らしたな。
大失敗じゃん、挑発上手の黒尾くん」
ギクリと肩をすくめたクロくんはため息を吐いた。
まぁ、こうなることは思わないだろう。
『…月島くん、あんまりそういう挑発に乗るタイプじゃないんだろうねー』
黒尾「って言ってもだぜ、あのチビちゃんがどれだけ得体しれなくても対等どころか叶わない存在として見てるなんて思わないだろ…」
パッと空気を切り替えたクロくんはやってきた音駒メンバーとブロック練を始めた。
私は先に失礼してマネージャー部屋に戻る。
お布団とか出しておかなきゃなぁと思いながら一人くらい廊下を歩いた。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年4月16日 0時
