息抜き ページ12
ピコンと音がすれば、皐月さんからのメールが届く。
どうやら渋滞に巻き込まれてしまったらしく、あと10分ほどかかるとのこと。
退勤時間だから、まぁ仕方あるまい。
校庭のベンチに腰掛けて、資料に目を通す。
疲れてきたからか目の調子が悪い。どこかぼやけてきて、白抜ける視界。
赤葦「あ、A。
文化祭委員長になったんだって?」
校内見回り中なのか、散歩中なのか…白衣のままの京一兄さんが前に立っていた。
資料を覗き込み、ふーん…と声を漏らした。高校をスキップしたといっていたからあまりこういうことはやったことがないようだ。
確か中学では生徒会会計をやったらしいけど。
赤葦「視力、この前の検査の時に落ちてたよね。」
4月の身体検査ではC判定が出てしまったんだっけ。
メガネ作らなきゃかなぁ…
『だね…今度眼科でも行ってみるよ。
それより京一兄さんは見回り中?』
とさりと隣に座った彼にきく。
疲れているのかコキコキと首を鳴らし、背を伸ばすように踏ん反り返った。
赤葦「んー、気分転換も兼ねてね。
文化祭、体育祭の方で準備とかの仕事が増えて…
ほら、怪我する人増えるでしょ?」
文化祭では準備時に手を切る人から、機材が落ちてきたりで足をひねる人。
体育祭では転ぶ人から熱中症になる人…保健室のピークになるわけだ。
深いため息をつく彼にカバンに入ったのど飴を一つ渡す。
マスカット味の私が好きなやつだ。
疲れた時には甘いものが一番。
その後も他愛のないことを話していれば携帯がもう一度メッセージが届いたことを告げた。
赤葦「どうやら来たようだね。」
校門の方まで私の歩幅に合わせてエスコートしてくれる。
こうやって不自然にならない紳士な対応が女子の人気を呼ぶんだろうな、なんて考えた。
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2019年4月16日 0時