【銀魂】今日もお江戸は平和です

第二十訓 ページ21

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「あー幸せ。太っても後悔ないです」

「安心しろもう太ってっから」

「ぶっ飛ばすぞハゲ」

「ハゲてねーよ！」



制限時間も3分の2を過ぎ、そろそろお腹が限界を迎えてきた。今食べているケーキで最後にしよう。

先程から旦那の当たりが強い気がするのは気のせいだと思いたい。素直に楽しむ事も出来ないのだろうか。



「おい、」

「ん？」



不意に呼ばれ、ケーキを食べていた手を止めて旦那の方を向くと口の端を指で拭われる。



「クリームついてたぞ」



そう言うと、手についたクリームを舐め取る旦那。どうやら私の口にクリームがついていたらしく、わざわざ取ってくれたのだろう。

大人にもなって口周りにクリームが付いていた事実はかなり恥ずかしいが、「どうも」と伝えればまた溜息を吐いた。



「流石甘いのにがめつい旦那。油断もスキもないですね」

「お前には言われたくねェ」



「仕返しにならねェ」と小さく呟いた旦那が何を考えていたのか分からないけれど、お洒落な雰囲気のお店に旦那の姿は似合わないな、と今更ながらに思った。



そんな幸せな時間も気付けば終わり、今は会計をして出て来た所。「楽しかったですか？」と入り口に立つ旦那に聞けば「ケーキが美味かった」と返ってくる。答えになっていないが、この際気にしない。



「また一緒に来ましょうよ。次は旦那の奢りで」



…いや、私に奢るよりも給料を神楽ちゃん達に渡すのが先か。物凄い愚痴っていたし。

因みに二人は今出掛けているんだそうで。二人も誘う予定だったがいないなら仕方ないと二人で来たのだ。



「そうだ、これこのお店のケーキです。来れなかった二人にあげて下さい」



気前の良い出来る女である私は、いなかった二人の為にテイクアウト用のケーキを買ってあげたのだ。財布に余裕があって助かった。



「マジかよ、気が利くな」

「旦那にじゃないです、二人にあげて下さい。いいですか、二人にあげるんですよ。旦那の分はないので。いいですか、二人に…」

「何回言うんだよ！しつけーな！！」



「分かった分かった」とうんざり気味に言うので、次は目で訴えていたらしつこいとまた言われた。喋っていないのに伝わった事に少しの気味悪さと喜びを感じつつ、付き合ってくれた礼を言い、旦那と別れる。


旦那のことだから二人に渡さないで独り占めする事は目に見えている。買った意味なかったな、と思ったけれど、その時は腹から吐き出してもらえばいいか。



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