第四十五話. ページ46
「之こそが雪国の本来の姿だよ。他者を護り救済し、幸を
「私はずっと…目を背けてきた。自身の過ちからも、彼女からも。」
私が殺したも同然だった_____
そう呟く太宰くんに、四年前に感じていた憤りは消えていた
私に止める事は不可能だった。唯一できるのは太宰くんだけだったから
「森さん、貴方には此の未来が見えていたんですか」
其の問掛けに私は答えない。其の沈黙こそが肯定であるから
Aちゃんが目を瞑ってから何度陽は昇り、沈んだか。今日は
「………私が彼女に触れる権利は無い」
「君にしか出来ない事が在るだろう。太宰くん、頼んだよ」
中也くんには抗争の後処理を頼んだ為、Aちゃんの現状を知らない。否、私が避けた
太宰くんが一歩、また一歩と彼女を包む氷に近づく
私が此の結果を知っていても尚、助けられなかったのはAちゃんの想い人が…
「人間失格_____」
君だったから。君は中也くんだと思っていたのだろう、でも其れは誤算だった
“
辺が光輝き、音も立てず静かに彼女の異能は消えていった
そして中から私に身を預ける様に倒れたのは
「君は何故…、何故こんな事を、」
私の腕の中で冷たくなった君は綺麗な白肌に涙の跡を遺して眠っていた
「狡いじゃあないか。非道いじゃあ、ないか…」
言葉全てが吐き捨てる様に零れ落ちる。私は彼女を殺してしまった
しかし私もまた君に、君自身で殺された。肉体的にでは無く、精神的に
其れでも、彼女が今日まで溜め込んできた気持ちに比べれば其れは比にならない
「首領、全ての任務が完了しまし………た?」
背後から聞こえる、普段なら厭で仕方の無い声。今は其の元相棒にも向ける顔が無い
「…おい太宰。手前の腕の中で倒れてんのは誰だ」
「もう、二度と目を開けないで在ろう私の大切なたった一人の…愛する子だよ」
一瞬、周囲の空気が息する事を許さない程に重くなった
中也の憤りが異能無しでも影響し、痛いほどに感じた。そして徐々に足音が近づく
「なんだよ…此奴が死ななきゃならねェ理由は。なんだよ、」
「俺は約束したんだよ、此の抗争が終わったら生きてまた会うって。拳まで合わせた」
中也の声が上擦る。其れも全て、私のせい
「ねぇ、Aちゃん……愛しているんだ。ずっと前から君だけを」
もう届かない私の本音を今、君に伝える
其れがせめてもの贖罪だった
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凜(プロフ) - 伊月さん» コメントありがとうございます!物語の構成は創る以前に練った部分もあるのでお気付きになって貰えて嬉しいばかりです……!深夜帯の方が泣ける可能性何故か高いですよね、笑今度も精進して参ります!本当にありがとうございます! (2021年10月21日 21時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
伊月 - 物凄くよかったです!文体がめちゃくちゃ私好みな上、物語の構成がもう涙しか誘わない...泣けなかったけどもw 深夜に読んでこっそり泣こうかな。表現とかもすごく綺麗で、とても参考になりました。漢字沢山使ってて文ストっぽくて好きです!活動応援してますね! (2021年10月18日 12時) (レス) @page50 id: db73aa45c7 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます!神作だなんて私には勿体ない程ありがたいお言葉を頂いてしまって……、、文才ももう褒めてもらえて幸せでいっぱいです!私もそのように優しい主様に出会えて良かったです!ありがとうございます…! (2021年10月6日 0時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - いや、真面目に泣きました。神作過ぎます、、、、、こんなの見れて今日は私の命日なのかな?感動しましたし、作者さまの文才が凄いですね!こんな神作、もう出会えないかも知れない。出会えて良かった、、、、、 (2021年10月4日 23時) (レス) @page49 id: 2eb070a2f9 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます!そのような嬉しいお言葉をいただけて私も幸せですし泣きそうです…、感動できる作品創りを心掛けて居るので良かったです…!本当にありがとうございます! (2021年9月23日 20時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凜 | 作成日時:2021年5月28日 21時