第四十四話. ページ45
軍警からの依頼で探偵社も此の長く続く抗争に街の人の保身役として加わっていた
ポートマフィアと、元傘下の異能組織の対峙。誰が聞いても身震いするものだった
幾年前の竜頭抗争を鮮明に思い出させる、そして………
今は亡き、友人の記憶も＿＿＿＿＿
「織田作…今度は人を救う側として街を護るよ」
深夜、街に出れば二組織がせめぎ合っており、決着の瞬間の近さを黒の風と共に感じた
今尚、停戦協定を結んでいるポートマフィアと今は半協力関係にあると云っても過言では無い
理由は簡単。裏切った敵対組織はヨコハマを潰す計画を企てて居たのだから
其の為我々探偵社も少々前から此の抗争にて勝利を収める為に尽力していた
『……は、？』
風に乗せられて此処迄運ばれてきた声は、此の荒れ狂った抗争に灯る蛍の光の様だった
夜目は効く。振り向けば其処には大切な君
「Aちゃん？」
私の声は届かない。只、私の視線の先に居る君は喪失感に濡れた瞳を震わせて
一直線に煌めきが眩しい空を見上げていた。釣られる様に私も見上げる
戦闘機の雨か、天候の雨か。
考える暇もなく、私の耳に鮮明に一つ、声が届いた
“愛してます”
何故か其の愛の声は、私に向けて放たれたものだと強く感じ取った
「……拙い、Aちゃん！」
空を写した様な蒼色の文字羅列が彼女を包み込む
厭な予感がする、私が未だ知らない何かが始まっている、と
刹那、ヨコハマの街が光に包まれる。其の眩さに自然と目を瞑る
華々しく吐き誇る花の様な上空一面に広がる結晶
「…何故、っ」
周囲は騒がしい筈なのに、私の耳には何も届かない。只、目の前の愛する君を見ていた
「Aちゃん…………、」
本当は今すぐ彼女を包む氷に触れたい。けれど私が触れてしまえば二次災害を余儀なくされる
そもそも彼女の異能は結晶を操るもので、他者の救済…身内の魂を戻すなど
「太宰くん」
「森、さん…。此れは彼女の異能ですか」
「そうだよ。と云っても使う瞬間は無意識の領域に居るがね」
「こうなったAちゃんは一体、」
「きっと結晶の上の戦闘機や人員が全て回収される頃にはもう……」
嗚呼、今日はなんて寒いのだろう。ひと時息をするのも忘れていた
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凜(プロフ) - 伊月さん» コメントありがとうございます！物語の構成は創る以前に練った部分もあるのでお気付きになって貰えて嬉しいばかりです……！深夜帯の方が泣ける可能性何故か高いですよね、笑今度も精進して参ります！本当にありがとうございます！ (2021年10月21日 21時) (
レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
伊月 - 物凄くよかったです！文体がめちゃくちゃ私好みな上、物語の構成がもう涙しか誘わない...泣けなかったけどもw 深夜に読んでこっそり泣こうかな。表現とかもすごく綺麗で、とても参考になりました。漢字沢山使ってて文ストっぽくて好きです！活動応援してますね！ (2021年10月18日 12時) (レス) @page50 id: db73aa45c7 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます！神作だなんて私には勿体ない程ありがたいお言葉を頂いてしまって……、、文才ももう褒めてもらえて幸せでいっぱいです！私もそのように優しい主様に出会えて良かったです！ありがとうございます…！ (2021年10月6日 0時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - いや、真面目に泣きました。神作過ぎます､､､､､こんなの見れて今日は私の命日なのかな？感動しましたし、作者さまの文才が凄いですね！こんな神作、もう出会えないかも知れない。出会えて良かった､､､､､ (2021年10月4日 23時) (レス) @page49 id: 2eb070a2f9 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます！そのような嬉しいお言葉をいただけて私も幸せですし泣きそうです…、感動できる作品創りを心掛けて居るので良かったです…！本当にありがとうございます！ (2021年9月23日 20時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凜 | 作成日時：2021年5月28日 21時
