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第三十八話. ページ39

「余り自分を卑下するのは辞め給え」


数年前、突如として聞かなくなった声


「未だ暴走していない処を見ると、制御能力が上がった様だね」


数年前、私が護るに足らなかった相手の声


「ひさしぶりだね、Aちゃん」


『……なぜ、貴方が此処に居るのですか』


「何故、か…私が此処に居る事に理由は必要かい?」


飄々としている所も、何手も先まで読んでいる様な澄んだ声も、全部…


「私が君を突き放したあの日も雨だったね」


『貴方を…貴方を憎みたかった、ずっと……ずっと!』


あの日が貴方にとって単純で容易に済む様な日だったとしても私にとっては違った


脳髄を掻き回される様な混沌に包まれ渦を巻く黒い感情に支配されないように


そう自身と葛藤してきた今日までの日々


『貴方は…っ、太宰さんは!』


「昔の様に治くんと、そう、名では呼んでくれないのかい?」


『呼ばない、呼べない………。もう、何も…』


刹那、心臓が痛い程に大きく音を立てて跳ねる様な感覚に襲われた


幾度となく経験してきた、鈍く染み渡るような痛み


異能の暴走が始まって仕舞う…


私の此の厄介な異能のせいで太宰さんはポートマフィアを後にした。そうに違いない


こうして再会をして迄迷惑など掛ける訳には行かない。もう、二度と…


『大切な人を傷つけて生きるのは厭だ、っ』


「落ち着くんだ、Aちゃん」


そう云って彼は、私の手にそっと触れた

第三十九話.→←第三十七話.



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - 伊月さん» コメントありがとうございます!物語の構成は創る以前に練った部分もあるのでお気付きになって貰えて嬉しいばかりです……!深夜帯の方が泣ける可能性何故か高いですよね、笑今度も精進して参ります!本当にありがとうございます! (2021年10月21日 21時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
伊月 - 物凄くよかったです!文体がめちゃくちゃ私好みな上、物語の構成がもう涙しか誘わない...泣けなかったけどもw 深夜に読んでこっそり泣こうかな。表現とかもすごく綺麗で、とても参考になりました。漢字沢山使ってて文ストっぽくて好きです!活動応援してますね! (2021年10月18日 12時) (レス) @page50 id: db73aa45c7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます!神作だなんて私には勿体ない程ありがたいお言葉を頂いてしまって……、、文才ももう褒めてもらえて幸せでいっぱいです!私もそのように優しい主様に出会えて良かったです!ありがとうございます…! (2021年10月6日 0時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - いや、真面目に泣きました。神作過ぎます、、、、、こんなの見れて今日は私の命日なのかな?感動しましたし、作者さまの文才が凄いですね!こんな神作、もう出会えないかも知れない。出会えて良かった、、、、、 (2021年10月4日 23時) (レス) @page49 id: 2eb070a2f9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます!そのような嬉しいお言葉をいただけて私も幸せですし泣きそうです…、感動できる作品創りを心掛けて居るので良かったです…!本当にありがとうございます! (2021年9月23日 20時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年5月28日 21時

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