第二十五話. ページ26
『アラハバキ…?』
「そう、荒覇吐。今回は其の調査だよ」
僕よりも幾分小さなAちゃんを、抱き上げつつそっと寄合い乍話す
『ふぅん……あ、』
「Aちゃん、どうかしたのかい?」
『あっち。あっちから“音”がする』
唐突に目の色を変えそう僕に云うAちゃん
之には、僕も森さんの部下の広津さんも驚きを隠せずに居た
するりと僕の腕の中からAちゃんが抜け落ちる
『治くんと……広津さん。着いて来て』
Aちゃんの広津さんを見る瞳が少しばかり怯えて居る様にも見受けられた
大方、彼が先代より仕えて来たからだろう
前を歩くAちゃんの其の小さな背中を見て居ると、過去の事の大きさを痛感させられる
『此の辺り』
不意にAちゃんの足は止まり、此方へ振り向いた
「此の辺りに何があるんだい、Aちゃん」
『確信は無いけれど…多分今回の事件に大きく関わって居る人が来る』
「へぇ、何故そう思うの?」
『此処は擂鉢街、常に人が人の目を気にし合って怯え争って生きる場所』
其の様な場所であの様な轟音を立てるには相当の力量と勇気が必要だと云う
僕達には聞こえない音もAちゃんには聞こえていて、更には洞察力も備えて居た
同時に、僕の携帯が高く音を立てる。森さんからの着信だった
此処迄の調査で僕自身も大きな手掛かりを掴んでいた
“先代は甦った”と云う噂が確信に変わる手掛かり
何とも忌々しい話だと思う。Aちゃんの事を思うと更にだった
直後、僕の身体に多大な衝撃が奔り壁へと打ち付けられた
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凜(プロフ) - 伊月さん» コメントありがとうございます!物語の構成は創る以前に練った部分もあるのでお気付きになって貰えて嬉しいばかりです……!深夜帯の方が泣ける可能性何故か高いですよね、笑今度も精進して参ります!本当にありがとうございます! (2021年10月21日 21時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
伊月 - 物凄くよかったです!文体がめちゃくちゃ私好みな上、物語の構成がもう涙しか誘わない...泣けなかったけどもw 深夜に読んでこっそり泣こうかな。表現とかもすごく綺麗で、とても参考になりました。漢字沢山使ってて文ストっぽくて好きです!活動応援してますね! (2021年10月18日 12時) (レス) @page50 id: db73aa45c7 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます!神作だなんて私には勿体ない程ありがたいお言葉を頂いてしまって……、、文才ももう褒めてもらえて幸せでいっぱいです!私もそのように優しい主様に出会えて良かったです!ありがとうございます…! (2021年10月6日 0時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - いや、真面目に泣きました。神作過ぎます、、、、、こんなの見れて今日は私の命日なのかな?感動しましたし、作者さまの文才が凄いですね!こんな神作、もう出会えないかも知れない。出会えて良かった、、、、、 (2021年10月4日 23時) (レス) @page49 id: 2eb070a2f9 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます!そのような嬉しいお言葉をいただけて私も幸せですし泣きそうです…、感動できる作品創りを心掛けて居るので良かったです…!本当にありがとうございます! (2021年9月23日 20時) (レス) id: da98b739f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凜 | 作成日時:2021年5月28日 21時