おかあさんではありません！2【浦.島.坂.田.船】

母の思惑 ページ39

「来ちゃった♡」

とまるで彼女みたいに言う母の手には少し小さめのキャリーバッグがあった。

「もしかして泊まる気？」
「もちろんよ。たまには東京でお買い物したいし」
「あのね、なんで連絡してから来ないの...」
「だってあんたいっつも忙しいじゃない。なかなか連絡もつかないし」
「それはそうだけど。私が仕事だったらどうすんの？」
「勝手に鍵開けて入ってるわよ」

疲れ切っているせいか「あ、そう」としか出てこなかった。
母はいつも唐突にやって来て部屋が汚いだの顔が死んでるなど小言を言い、かと思えば買い物行くから付き合ってと人を振り回す嵐のような人なのだ。
そのおかげかちょっとの理不尽さでは何も思わなくなった。
...だからあの4人と付き合えてるのか。

「Aは明日仕事なの？」
「いや、休み」
「本当！？じゃあ一緒に出かけましょうよ！」
「え、やだ」
「.....年末年始もろくに帰って来ない娘のためにわざわざ会いに来たのに...冷たい...お母さんはあなたをそんな子に育てた覚えはないわ...！」

まるで悲劇のヒロインかのようにおよよと泣き真似をする母。
全くこの人は。

「あーもー！分かったよ！で、どこ行くの？」
「内緒」
「...は？」

「どうしてもAと行きたいところがあるのよ〜。きっとビックリするわよ〜」とのんきに言う。
もう慣れてしまっているけど、



(あの4人より面倒臭いかも)

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