37日目 ページ37
「なぁA、お前も行くなら東京校だよな?」
「Aは私と一緒に京都校…よね?」
星に願ったあの日、あの後すぐに見回りの者に見つかってしまい、連れ戻された俺たち。
今日はそんな星の降った日から数日たち、今は”何故か”悟と楓”が東京校か京都校のどっちの呪術専門高等学校…いわゆる高専に通うかの言い争いをしていた。
『うーん…東京校、かな?』
俺がそう言うと凄く嬉しそうに喜ぶ悟と分かりやすく落ち込む楓。
この2人の反応面白いな…なんて。
「しゃあ!ほら見ろ!Aは俺と行きたいんだとよ!!!」
「そこまでは言ってなかったじゃない!!!」
「A、なんで私とは嫌なの???」
「お前のことが嫌いなんだろ。」
なんて煽るものだから、今にでも喧嘩に発展しそうな空気に…。
『楓と一緒なのが嫌ってわけじゃないんだけどね…?』
『ただ、家元から離れたいだけだよ。』
高専には学生寮が存在するため、入学してしまえば家に帰ることは減るだろう。
だからと言って家から近い京都校に入学すれば使いの者を頻繁に寄こし、無駄な仕事が増えるだけだ。
だからこそ、少しの抵抗として、家から遠目である東京校を選んだのだ。
「やっぱそうだよなぁ…」
「ところで、なんでお転婆嬢は京都校にしたんだよ」
お転婆嬢って呼び方…。
「お転婆嬢って、あんたねぇ…はぁ、まぁいいわ。」
「私が決めた訳じゃなくて、私のお父様が勝手に決めたのよ。京都校の学長とは深い仲だそうで、コネがきくんですって。」
『わぁ…』
「うっわ、クズだな…」
「それ、お父様に直接言ってやってくんない???」
「坊ちゃんなら何言っても大丈夫でしょうから。」
『やめときなって…』
ーーーーー
悟はまだ準備中だとかで不在中。
今日は3人で顔を合わせることの出来る、最後の日だった。
「にしても東京校ね…寂しくなるわね。」
そう呟く楓の横顔がとても悲しそうに見え、いつものように軽口を叩くことが出来なかった。
『そう、だね…』
1人だけ違う学校。
もう決まってしまった状況だが、悲しくならないはずがなかった。
『寂しい、よね…』
「…まぁ、ちょっとはね」
『…俺も寂しいよ、楓と会えなくなるの。』
今まで隣にいて当たり前だった存在がいなくなる。
それほど寂しいことはなかった。
ただの許嫁…されど許嫁、そこに恋愛感情はなくとも、気付かぬうちにかなり好意を寄せていたみたいだ。
「まぁ、一生の別れじゃないんだし…私たちなら大丈夫よ」
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作者名:楓さん x他1人 | 作成日時:2021年3月2日 16時